休業期間中に、生活のために他社でアルバイトをした社員がいます。休業手当を減額できますか?

回答

平均賃金の100分の60の額を下回るような減額はできません。
ただし平均賃金の100分の60を超える法定超の休業手当を支給することを労使間で取り決めをしている会社もあります。
この場合は、100分の60を下回らない限度で、アルバイトによる収入に応じて減額する取り決めをすることも可能です。

例)平均賃金30万円 就業規則で平均賃金の7割支給と規定 アルバイト収入5万円
30万円×0.7=21万円
30万円×0.6=18万円
アルバイト収入が3万円(=21万円ー18万円)を超えているので、就業規則に規定することで、この3万円は減額できます。

*休業期間中の副業は、自社での業務遂行に影響を及ぼしません。
したがって副業を禁止する社内規定があったとしても、禁止することもできません。

解説

関連法令

労働基準法26条
使用者の責に帰すべき事由による休業の場合においては、使用者は、休業期間中当該労働者に、その平均賃金の百分の六十以上の手当を支払わなければならない。

民法536条2項
債権者の責めに帰すべき事由によって債務を履行することができなくなったときは、債権者は、反対給付の履行を拒むことができない。この場合において、債務者は、自己の債務を免れたことによって利益を得たときは、これを債権者に償還しなければならない。

*この536条2項の前段についてわかりやすく説明すると下記のようになります。
経営者の故意または過失が原因で、労働者に仕事を与えることができなくなったとします。この場合、労働者の業務遂行(=労働契約上の労働者側の義務)がないからと言って、経営者は給与支払(=労働契約上の経営者側の義務。すなわち反対給付の履行)を拒むことはできません。

労働基準法26条と民法536条2項前段のそれぞれの役割について

「故意・過失など明らかな使用者の責任で就業ができなかった場合、労働者は賃金の請求権を失わない」というのが民法第536条2項です。
しかし、民法第536条2項によれば、使用者の故意・過失ではない事情で、労働者が働けなくなった場合には、労働者は賃金請求出来なくなってしまいます。
そこで労働者の生活を不安定にさせないために、労働基準法第26条は、民法536条2項では対応できないような休業期間中についても定めています。
すなわち、使用者は労働者に対して平均賃金の6割以上の休業手当を支払うこととしているのです。

民法536条2項後段について

労使間で、平均賃金の100分の60超の休業手当を支給する取り決めがある一方で、アルバイト等した場合の減額についての取り決めがなかった場合を考えます。
ポイントとなる民法第536条2項後段は、今回のケースに近づけて考えると以下のようになります。

本来会社(自社)で働く時間を使って、他社で収入を得た場合は、その得た収入を自社に返還しなければいけない(その代わり労働者は自社から給与全額を受け取ります)

この536条2項後段について判例(駐留軍山田部隊事件 最二小 昭和37・7・20)は、本来自社で働いていた時間を利用して得た他社での収入は、副業程度の労働から得た収入でない限り、債務を免れたことによって得た利益に該当するとしています。
このような民法の立場に立つと、労働者が休業期間中に生活維持のために他社でアルバイトをして、自社給与の100分の40超を稼いでくれた方が、会社が得をすることになります。

原則として副業程度の収入は第536条2項の適用を受けず、当然休業手当から控除できません。
また仮に民法第536条2項の適用を受けるような収入であったとしても、副業収入を控除した結果、休業手当が平均賃金の100分の60を下回るようなことは許されないとされています。

つまりいかなるケースであっても、休業手当の額は、平均賃金の100分の60を下回る事はできないと言うことになります。

参考判例

長崎生コンクリート事件 長崎地判 昭和63年2月12日

家庭の事情を理由に転勤を拒否した労働者が、会社から就労を拒否されました。
この労働者と労働組合が長崎地方労働委員会に救済を求めました。
その結果転勤命令の撤回、現職復帰、就労拒否から職場復帰までの間の給与の支払が、当該労働委員会より会社に命ぜられました。

就労を拒否された期間、当該労働者はタクシー臨時運転手として収入を得ていたことから、この就労拒否から職場復帰までの間の給与額を巡って裁判上の争いになりました。
会社の就労拒否は不当であったことや、他社で労働を行うこととなった経緯などが個別具体的に考慮されました。
その結果、判決ではタクシー運転手としての収入の3分の1を当該労働者が会社に返還することを命じました。

休業期間中に、生活のために他社でアルバイトをした社員がいます。休業手当を減額できますか?

回答:平均賃金の100分の60の額を下回るような減額はできません。ただし平均賃金の100分の60を超える法定超の休業手当を支給することを労使間で取り決めをしている会社もあります。この場合は、100分の60を下回らない限度で、アルバイトによる収入に応じて減額する取り決めをすることも可能です。

*休業期間中の副業は、自社での業務遂行に影響を及ぼしません。従って副業を禁止する社内規定があったとしても、禁止することもできません。

関連法令

労働基準法26条
使用者の責に帰すべき事由による休業の場合においては、使用者は、休業期間中当該労働者に、その平均賃金の百分の六十以上の手当を支払わなければならない。

民法536条2項
債権者の責めに帰すべき事由によって債務を履行することができなくなったときは、債権者は、反対給付の履行を拒むことができない。この場合において、債務者は、自己の債務を免れたことによって利益を得たときは、これを債権者に償還しなければならない。

*この536条2項の前段についてわかりやすく説明すると下記のようになります。
経営者の故意または過失が原因で、労働者に仕事を与えることができなくなったとします。この場合、労働者の業務遂行(=労働契約上の労働者側の義務)がないからと言って、経営者は給与支払(=労働契約上の経営者側の義務。すなわち反対給付の履行)を拒むことはできません。

労働基準法26条と民法536条2項前段のそれぞれの役割について

「故意・過失など明らかな使用者の責任で就業ができなかった場合、労働者は賃金の請求権を失わない」というのが民法536条2項です。しかし、民法536条2項によれば、使用者の故意・過失ではない事情で、労働者が働けなくなった場合には、労働者は賃金請求出来なくなってしまいます。そこで労働者の生活を不安定にさせないために、労働基準法26条は、民法536条2項では対応できないような休業期間中、使用者は労働者に対して平均賃金の6割以上の休業手当を支払うこととしています。

民法536条2項後段について

労使間で、平均賃金の100分の60超の休業手当を支給する取り決めがある一方で、アルバイト等した場合の減額についての取り決めがなかった場合を考えます。ポイントとなる民法536条2項後段は、今回のケースに近づけて考えると以下のようになります。

本来会社(自社)で働く時間を使って、他社で収入を得た場合は、その得た収入を自社に返還しなければいけない(その代わり労働者は給与全額を受け取ります)

この536条2項後段について判例(駐留軍山田部隊事件 最二小 昭和37・7・20)は、本来自社で働いていた時間を利用して得た他社での収入は、副業程度の労働から得た収入でない限り、債務を免れたことによって得た利益に該当するとしています。このような民法の立場に立つと、労働者が休業期間中に生活維持のために他社でアルバイトをして、自社給与の100分の40超を稼いでくれた方が、会社が得をすることになります。
原則として副業程度の収入は536条2項の適用を受けず、当然休業手当から控除できません。また仮に536条2項の適用を受けるような収入であったとしても、副業収入を控除した結果、休業手当が平均賃金の100分の60を下回るようなことは許されないとされています。つまりいかなるケースであっても、休業手当の額は、平均賃金の100分の60を下回る事はできないと言うことになります。

参考判例

長崎生コンクリート事件(長崎地方裁判所 昭和63・2・12)
家庭の事情を理由に転勤を拒否した労働者が、会社から就労を拒否されました。この労働者と労働組合が長崎地方労働委員会に救済を求め、転勤命令の撤回、現職復帰、就労拒否から職場復帰までの間の給与の支払が、当該労働委員会より会社に命ぜられました。就労を拒否された期間、当該労働者はタクシー臨時運転手として収入を得ていたことから、この就労拒否から職場復帰までの間の給与額を巡って裁判上の争いになりました。会社の就労拒否は不当であったことや、他社で労働を行うこととなった経緯などが個別具体的に考慮された結果、判決ではタクシー運転手としての収入の3分の1を当該労働者が会社に返還することを命じました。