逆ザヤ社員とは、全てを周囲のせいにする他責思考
本来的な働く意味とは「仕事をし成果を上げる ⇒ 給料をもらう」ということである。
これは狩猟や農耕であれば「作物を育てる ⇒ 収穫する」「動物を狩る ⇒ 肉を食べる」ということになる。
これによって「より作物を多く収穫するには、育て方を工夫する」「仕事のやり方を工夫する」という考え方になる。これを、逆に考えてしまう社員がいる。
つまりは「この仕事はやり方がおかしい」「この営業先は相手がおかしい」、「だから私は成果を上げることができない」という感覚である。
これが農耕や狩猟だったらどうだろうか。
「土が瘦せているので、種をまくのをやめました」「弓の弦が切れたので、狩には行きませんでした」ではたちまち餓死してしまう。
つまり通常であれば、成果を出すための工夫が先なのだが、「準備や前提などが整っていないのは、わたしたちの仕事ではありません。それは上司や代表がやってください」という思考の人がいる。
いわゆる、全てを他人のせいにする他責思考である。こうした従業員は、他責思考のため、代表や上司の指示命令を受け入れることができずに、常に自分の保身のための発言をする。
こういった他責思考で、会社に利益をもたらすことなく、周りへの悪影響を振りまく社員を、私は「逆ザヤ社員」と呼んでいる。
物事の順番を無視し、会社の鞘に収まらず反抗するから、こう呼んでいる。
こうした逆ザヤ社員は、残念ながら教育によって変わることは少ないだろう。
スキルや能力はあとから向上することが期待できる。
しかし、こうした全てを周囲のせいにする他責思考の逆ザヤ社員からの防御策は、採用しないことしかない。
面接前の20分の作文が有効
現在は、「志望動機 例文」「面接の質問 回答」などと検索すると、いろいろな就職情報サイトが、これでもかというくらい、シチュエーションにあった例文を教えてくれる。
またチャットGPTなどの生成AIなどのサービスを利用すれば、いかにもという文章がいくらでもつくれる時代である。
そのために面接の受け答えだけで、社員の適正を見極わめるのは不可能である。
そこでお勧めしているのが、面接当日の作文である。
面接開始の20分ほど前に来てもらい、アンケートを書いてもらう。
アンケートには、ご自身の健康状態や喫煙の有無など、通常の知りたい内容を書いてもらう。
そして、最後に「今までで最もひどい失敗は?」という質問を入れ、その答えについて次のポイントを確認する。
(POINT1 謝罪があるか)
一般的には、失敗から何を学んだかや、ストレス耐性などを確認することが多い。
それはそれで重要であるが、かならずチェックしてほしいポイントがある。
自分の失敗について、本当に自分の失敗と認め、各方面に謝罪をしたのかどうかである。
「悪いと思った」のではなく、事実として言葉に出して謝罪をしたような経験があるのかどうかである。働いていれば、多少の失敗をすることは必ずある。
そこで謝罪ができるような社員であれば問題ない。
他責思考の逆ザヤ社員は、プライドが高く、ほとんど謝ることがない。
謝ったとしても、「自分も悪いけど、会社も悪かったんで、、、」という感じでしかない。
(POINT2 事実と思い込み)
これは作文の中だけでなく、面接の全体を通して確認してほしい。
その人の言葉の中の、「事実」と「思い込み」の割合である。
例えば次のような受け答えで考えてみよう。
「私は5年間、福祉の現場で仕事をしてきました。多くの利用者さんや保護者から、お褒めのお言葉をいただきました。代表からも仕事を評価をしてもらっていました。体調も良好で体調不良での欠勤はありません。」
実はこの文章は、事実は青い部分でしかない。
- 多くの利用者さんや保護者さんとは、具体的に何人くらいなのか?
- お褒めの言葉とはどんな言葉か?
- 評価してもらったというのは、具体的にどのように言われたのか?
- 評価の形として昇給賞与などが他の社員より良かったのか?
- 欠勤はなくとも体調不良の有給消化は何日あったのか?
上記のような深堀をしていくことで、本当にそれが客観的な事実なのかどうか確認できる。
最後にアンケートの時間をもう少しとれるなら「今まで一番理不尽だったこと」などのネガティブ質問も有効である。
こうしたネガティブな質問は、準備をすることがないため、本音を見ることができる。