就業規則の周知方法とは?気を付けるべきポイントも解説

就業規則の周知方法とは?気を付けるべきポイントも解説

「就業規則はあったほうがいいと聞いて作成した」

「就業規則の内容を変更したい」

そんなとき、どうやって従業員に周知したらいいのか悩まれている方も多いのではないでしょうか。そもそも「ちゃんと作ったのだから別に周知しなくてもいいだろう」と考える方もなかにはいるかもしれません。ここでは、就業規則を作成・変更したときの周知方法と、気を付けたいポイントについて解説します。

Contents

1.就業規則の周知は義務?怠った場合のリスクとは

説明をしている中年男性

まず、就業規則の周知は義務となります。労働基準法第106条1項に「法令等の周知についての関係条文」があり、就業規則は正しく従業員に周知しなくてはならない旨が記載されています。

労働基準法第106条1項
使用者は、この法律及びこれに基づく命令の要旨、就業規則を、(中略)常時各作業場の見やすい場所へ掲示し、又は備え付けること、書面を交付することその他の厚生労働省令で定める

よくあるケースとして、就業規則を作ってはいるものの従業員が簡単に見られない場所に保管していて、会社の社長やクリニックの院長にお願いしないと閲覧すらできないといったことがあります。これは、就業規則の周知・公開の観点からいえば良い保管方法とはいえません。 

就業規則を見せたがらない経営者の心理として一番多いのは、「自身が全内容を把握していないから」という理由が考えられます。つまり、従業員に質問されたり内容をつっこまれたりしては困るのです。就業規則は総じて、情報量がボリューミーです。全体像は把握していても、きめ細かい部分を理解しておくのは、確かになかなか大変なことかもしれませんね。

それでは一体どんな方法で「就業規則の周知」を行えばよいのでしょうか。労働基準法施行規則第52の2をまとめると、下記のようなポイントが大切になります。

【就業規則の周知方法】

・常に従業員が閲覧および確認できる状態にしておく

法令には「一 常時各作業場の見やすい場所へ掲示し、又は備え付けること。」とあります。

たとえば就業規則が社長・院長のデスクの引き出しに保管されているような状態や、鍵のかかった資料棚にあって鍵は責任者に頼まないと借りられないなど、従業員が自由意志で確認できない状態は決して良しとされず、これでは「周知されていない」という状態にあたります。

・従業員に交付する(入社時など)

これは「二 書面を労働者に交付すること。」に該当します。

配る時期はいつでもいいのですが、入社説明の一環としておくと渡し漏れを防げるでしょう。基本的に入社時には雇用契約書などの取り交わし、必要事項の記入、入社時説明などが行われると思われます。このタイミングで就業規則を配るというのは、周知方法としてはおすすめです。

もし印刷コストや手間が負担となる場合には、入社時に実際の就業規則を提示した上で説明するという方法も考えられます。

・最新の就業規則をオンラインの共有フォルダなどに保存しておく

「三 磁気テープ、磁気ディスクその他これらに準ずる物に記録し、かつ、各作業場に労働者が当該記録の内容を常時確認できる機器を設置すること。」によると、紙媒体ではなくデータでの保管も有効とされています。

つまり、従業員が常にアクセスできるような場所に就業規則を保管しておけば、もし変更があった場合にも最新のデータへのアップデートも簡単にできますね。

周知を怠ったときのリスク

就業規則の周知を怠ることには、「周知を完全に怠った就業規則は無効となる」「労働基準法違反として処罰の対象になる」というリスクが伴います。就業規則はきちんと周知をするという意識が大切です。

2.就業規則の内容を変更した際も周知は義務?

就業規則の周知においては、新しく作成した場合だけでなく、内容を変更した際も都度それを就業院に社員に周知する必要があります。せっかく就業規則を作成したとしても、「周知してない=作っていないに等しい」ということになりかねません。変更の際も同様で、従業員が変更内容を把握していなければ、周知が行き届いているとはいえませんよね。実際に、退職金にまつわる就業規則の変更が周知されていなかったことで、変更後の就業規則には効力がなかったものとして判決がおりたケースもありました。

従業員の不利益になるような変更内容は特にセンシティブです。従業員全員の同意を得るか、もし同意が得られない場合はその変更が合理的だと認められるか。トラブルの際はそういったポイントが焦点になります。

ちなみに、「就業規則を変更したよ」というアナウンスですが、実は義務付けられてはいません。ただし、変更の際に従業員の代表者から意見書を受け取り、届け出を提出するのは必須です。この時、従業員からの意見書をもらっているという時点で、従業員への変更の通達がされているという解釈ができるのです。そのため、「変更のアナウンス」自体が義務にはなっているわけではないということになります。

もし就業規則を変更する場合は、計画的に従業員への周知を進めましょう。経営者と従業員との十分な話し合いが大切です。

3.周知していてもトラブルになることも?大事なのは「理解」しているか

疑問から理解への図

ここまでで、“就業規則の周知は義務”だということがわかりましたが、仮に「うちには就業規則がありますからね」と伝えていたとしても、従業員がきちんとその中身を理解してないと、トラブルになることもあります。

特に、事例として多いのは給与計算についてです。たとえば、クリニックなどでも変形労働制度をはじめ、働き方が多様になった背景もあり、給与に関する規定は日々複雑になっています。計算する側もですが、対する従業員もしっかり自分の給与について把握してないと、認識がズレてトラブルにつながることもあるのです。

ほかには、休暇に関しても雇用者と従業員との間で認識の齟齬が出やすいケースのひとつ。たとえば、夏期休暇や年末年始休暇について、有休の消化扱いなのか特別休暇なのかで大きく変わってきますよね。もし有休扱いであれば、このことを従業員がしっかりと理解していないと、トラブルにつながりかねません。

4.協会では従業員の方の理解を深め、周知のフォローやサポートを行っております

握手をしているビジネスマン

当協会では「就業規則診断士 集中コンサルティングプラン 」「就業規則診断士 定額会員プラン」の各サービスを提供しており、就業規則に対する従業員の方の理解や周知に関してのフォロー・サポートを行います。

集中コンサルティングプランの期間は6~12カ月程度、定額会員プランは随時相談や年3〜4回の勉強会など、さまざまな側面からお客様をフォローします。

経営者(社長、院長)の立場が理解するべき就業規則の一番のポイントは、お金の部分です。100%理解するのは正直いって難しいことです。ですので、大事なポイントやお金の部分、そこだけはしっかりと理解してもらい、まずは8〜9割の遵守を目指しましょう。

私たちはまず、経営者の方に理解してもらうことを大事にしています。そしてもちろん、従業員の方たちへの理解も大切です。

5.お困りの際はぜひご相談ください!

最後に、日本就業規則診断士協会では下記のようなお困りごとのサポートを行っています。

  • 就業規則全般のサポート
  • アフターフォロー体制が充実
  • 従業員との関係性を構築
  • トラブル対応

詳しくはコチラ:サービス内容

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