神奈川県最低賃金は、県内で働くすべての労働者に適用されます。
他の都道府県の最低賃金については、厚生労働省 最低賃金特設サイト をご覧ください。
時給によって賃金を支払われているアルバイトやパートの方だけでなく、時給制以外によって賃金を支払われている労働者も当然適用されます。
時給制以外によって支払われている賃金が、最低賃金を上回っているかどうかの計算例については、下記「最低賃金の計算例」をご覧ください。
この記事では、最低賃金に関して、経営者の方や人事労務ご担当の方が知っておくべきポイントを解説します。
最低賃金には、2種類あります。
地域別最低賃金:都道府県別に、産業にかかわりなく地域内のすべての労働者に適用される。
特定最低賃金:特定の産業に働く労働者若しくは職業につく労働者に適用される。
上記2種類の両方が適用される場合は、どちらか高い方が適用されます。
ただし下記に該当する場合は特定最低賃金が適用されません。
- 18歳未満又は65歳以上の方
- 雇入れ後一定期間未満の技能習得中の方
- その他当該産業に特有の軽易な業務に従事する方
Contents
最低賃金法の目的と事業主の義務
最低賃金法の目的
労働基準法第28条「賃金の最低基準に関しては、最低賃金法の定めるところによる」とあるように、最低賃金法という法律が定められています。
そして、最低賃金法の目的について下記のように記されています。
最低賃金法 第1条(目的)
この法律は、賃金の低廉な労働者について、賃金の最低額を保障することにより、労働条件の改善を図り、もつて、労働者の生活の安定、労働力の質的向上及び事業の公正な競争の確保に資するとともに、国民経済の健全な発展に寄与することを目的とする。
なおここでいう労働者は、労働基準法第9条に規定される労働者です。
したがって、同居の親族のみを使用する事業又は事務所に使用される者及び家事使用人を除かれます(最低賃金法第2条1項)。
事業主の義務
- 事業主は、最低賃金の適用を受ける労働者に対し、その最低賃金額以上の賃金を支払わなければいけません。
労働契約における賃金で、最低賃金額に達しない部分は無効とされ、無効となった部分は、最低賃金と同様の定めをしたものとみなされます(最低賃金法第4条)。 - 事業主は、最低賃金の概要を常時事業場の見やすい場所に掲示するなどして、労働者に周知しなければいけません。
当然今回の最低賃金額の変更についても周知しなければいけません。
最低賃金の対象とならない賃金
最低賃金法第4条3項と同法施行規則第1条に規定されている最低賃金の対象とならない賃金は下記の通りです。
- 臨時に支払われる賃金(結婚手当等)
- 1カ月を超える期間ごとに支払われる手当(賞与等)
- 所定時間外労働、所定休日労働及び深夜労働に対して支払われる賃金
- 当該最低賃金において算入しないことを定める賃金(精皆勤手当、通勤手当、家族手当)
上記賃金を除いた額が最低賃金額に満たなければ違法となりますので、正確に理解することが必要です。
最低賃金の計算例
最低賃金の減額の特例
最低賃金法第7条および同法施行規則第3条に規定されている、最低賃金額の減額が認められています。
いずれも事業主(使用者)が都道府県労働局長の許可を受ける必要があります。
「最低賃金額から当該最低賃金額に労働能力その他の事情を考慮して厚生労働省令で定める率を乗じて得た額を減額した額」となります。
- 精神又は身体の障害により著しく労働能力の低い者
- 試の使用期間中の者
- 職業能力開発促進法第24条第1項の認定を受けて行われる職業訓練のうち職業に必要な基礎的な技能及びこれに関する知識を習得させることを内容とするものを受ける者であつて厚生労働省令で定めるもの
- 軽易な業務に従事する者および断続的労働に従事する者
*軽易な業務に業務に従事する者については、当該労働者の従事する業務が当該最低賃金の適用を受ける他の労働者の従事する業務と比較して特に軽易な場合に限られます。
最低賃金に関するQ&A
Q.派遣労働者の派遣元と派遣先の所在地が、異なる都道府県となる場合については、どちらの最低賃金が適用されますか?
A.派遣先の都道府県の最低賃金が適用されます。
派遣先の業種で特定最低賃金が適用され、そちらの方が上回っているのであれば、特定最低賃金が適用されます。
要は、派遣労働者にとって、派遣先の地域別最低賃金と特定最低賃金の有利な方が適用されるということです。
したがって、派遣元は、労働者を派遣している派遣先の事業場に適用される最低賃金額を把握しなければいけません。
Q.使用者(事業主)への罰則等はありますか?
A.最低賃金に満たない金額の賃金しか払わなかった場合に罰則が設けられています。
また最低賃金が支払われていないことについて、労働者が労働基準監督署等へ申告したことを理由に、使用者が労働者に不利益扱いをした場合も罰則があります。
- 最低賃金に満たない金額の賃金しか支払わなかった場合
6月以下の懲役又は30万円以下の罰金(最低賃金法第39条)
*当然最低賃金に満たない部分を労働者に支払った上での罰則です。
- 労働基準監督署等への申告を理由に不利益扱いをした場合
地域別最低賃金および船員に適用される特定最低賃金:50万円以下の罰金(最低賃金法第40条)
船員以外に適用される特定最低賃金:30万円以下の罰金(労働基準法第24条、120条1項)