きっかけ

私は、2011年に社会保険労務士の資格を取り、2012年に登録して以来、中小企業の人事労務の相談役として、多くの企業や医療機関のサポートを行ってきました。また同時に就業規則についても、多くの就業規則の作成や改訂の仕事を受け、ときには就業規則の説明を、代表者に代わって行うこともやってまいりました。

就業規則の活用方法はさまざまでありますが、就業規則を作るきっかけというのは、後ろ向きなものが多かったように思います。「従業員が10人を超えたから」「トラブルになると怖いから」「就業規則がないと懲戒できないから」と言った理由で、依頼をされてきます。もちろんどれも間違いではないですし、必要なものです。

でもそういった依頼を受けるたびに「就業規則は何のためにつくるのだろうか」というシンプルな疑問が湧いてきました。同時に、就業規則の作成の仕事は、本当の意味で、会社に役立っているだろうかという疑問が、頭から離れませんでした。そして、リスクを回避するためだけの就業規則の作成については、経験を積み得意になればなるほど、魅力を感じなくなってきました。

そうした疑問を持ちつつ、2018年に、コンサルタントの和仁達也先生のもと、キャッシュフローコーチ養成塾で、コンサルタントとして学ぶ機会を得ました。その塾で、経営者では「お困りごとトップ3」というものが出てきます。その一つが、「社員との立場の違いからくる危機感のズレ」というものです。和仁先生の塾には、2015年にコンサルタントスター養成講座を受講していましたし、和仁先生の書籍は全て読破していたので、この「お困りごとトップ3」の話も、聞くのが初めてというわけではありませんでした。しかし、このときに、「社員との立場の違いからくる危機感のズレ」を解消するのには、新しい形の就業規則をつくることで、解決できるのではないかと思うようになりました。

それ以来、私は「就業規則に新しい価値を吹き込む」というミッションに取りつかれてしまいました。そして今まで全く違う、新しい就業規則の作成に取り掛かりました。

就業規則の新しい価値

就業規則の問題点を挙げるのはとても簡単です。「わかりづらい」「見にくい」「理解できない」「どこに置いてあるかわからない」「会社のいいようにつくられている気がする」「読みたい項目が探せない」などなどです。そこで新しいし就業規則には、今までの就業規則にとらわれない目的・内容・形式でリリースすることを目指しました。それが「ビジョナリー就業規則 3つのバリュー」として完成しました。

特に就業規則の目的は、今までも就業規則とは全く違うものとして定義しています。

社会保険労務士としてよく顧問先から相談される内容に「社員が期待通りの動いてくれない」というものがあります。これは先ほどの「社員との立場の違いからくる危機感のズレ」と根本部分は一緒です。

経営者と従業員の関係は、雇用関係です。雇用契約というものは、そもそもはとてもシンプルで、「労務の完全な提供」と「給与」の交換ということになります。就業規則にはその「給与」についはて詳細が記載されています。それは何時から何時まで働くとは、8時間以上の労働は割増になるなどです。

ところが「労務の完全な提供」については就業規則に記載されていることはほとんどなく、完全に片手落ちになっています。就業規則に記載してあるのは9時~18時まで労働し、1時間休憩する、といった記載のみです。つまり給与の対価としての「完全な労務の提供」について、拘束時間のみしか記載がなく、労務の提供のレベルというものがどこにもないのです。

「社員が期待どおりに動いてくれない」という思いがあるとうことは、経営者にとっては何かしらの期待があります。ただし、その期待について、言語化したり、可視化したり、浸透させたりということは、ほとんど誰もやっていません。そのために従業員に期待の内容が伝わっていなかったのです。

そこで「新・就業規則」には、大きく第1部と第2部とに分けて構成しています。第2部は通常通りの就業規則になりますが、第1部は、本来会社が従業員に伝えるべきものをまとめています。具体的には、会社の目指すビジョン、使命感を言語化したミッション、会社の価値観であるカンパニースピリッツなどです。さらにはビジョンを実現するために、日々の判断基準をバリューに落とし込んで記載います。新・就業規則は、従業員が就業を通して評価を高めるための基準書としての役割を担うことができるのです。そして新・就業規則のなかでも、ビジョンを記載したものを、「ビジョナリー就業規則」として定義します。

ビジョナリー就業規則 3つのバリュー

①ビジョンを伝えるツール

会社のビジョンや理念など、決めている会社はあると思います。ただしそれが実際の業務の目的とリンクしている会社がどれほどあるでしょうか。

なぜ、理念がただのお題目になってしまっているかという問題についてはいくつか理由があります。まずは、そのほとんどが、経営者自身がそのビジョンに思い入れを持っていないからです。つまり、他の会社のものを真似してつくったり、時間をかけずに思い付きで作ったビジョンには、経営者自身が納得していないのです。「悪銭身に付かず」という言葉があります。時間と労力を投入しないで作ったビジョンは、社員に浸透しないのです。

第二にビジョンを目に触れる機会が少ないということがあります。何も毎朝ビジョンを唱和する必要はありせん。例えば事業を拡大していくかどうかの判断では、ビジョン、ミッション、カンパニースピリッツに立ち返って判断すると、後悔のない判断をすることができます。また、社員を指導するときについても、「ビジョンの実現のために、◎◎をやってほしい」「それはうちのカンパニースピリッツとは合わない」と説明すると、説明する側がぶれずに説明がつきますし、受け取る側も納得感が高くなります。本来のビジョン、ミッション、カンパニースピリッツは、額縁に飾るものではなく、こういった日常のやりとりで出てくるべきものです。

それを考えると、就業規則に記載しておくことは、非常に意味があります。具体的には、下の画像のような文章を就業規則に入れています。

サンプル画像

サンプル就業規則

②シンプルで わかりやすく 納得できる

就業規則の特徴に「わかりづらい」というものがあります。就業規則そのものは、従業員にとって大切な情報であるにもかかわらず、わかりづらいという理由から誰も読まないというのが常態化しています。そこで、ビジョナリー就業規則は、自分の知りたいことをすぐに、探せるからことにできる、Q&A方式の形式にしました。具体的には、通常の就業規則の作成後、「よくある質問」の項目を作成し、会社ごとのアンサーを入れるという形式です。これにより、今知りたい情報にすぐにアクセルすることができます。

また、直接本文に解説文を投入することができます。これにより、就業規則の解釈が違うといったトラブルを防ぐことができます。

サンプル画像

サンプル就業規則
サンプル就業規則

③スマートフォンからアクセス可能

就業規則でこだわっているのは、その提供方法です。一般的に就業規則は、冊子にして、休憩室に設置するとか、PDFにしてメールでわたすなどになります。今までの顧問先もそういった方式がほとんどでした。しかし、就業規則のリリース時はともかく、改訂しても誰も見ていないという状態がほとんどです。そのため誰でも、いつでも内容を確認できるように、スマートフォンで確認できるようにします。

協会概要

一般社団法人 日本就業規則診断士協会 代表理事 寺田達也(特定社会保険労務士)
住所 〒244-0003  神奈川県横浜市戸塚区戸塚町121-4 春芳園ビル301
電話 045-881-5707

代表理事の寺田達也は、コンサルタントスター養成塾、キャッシュフローコーチ横浜2期にて、ビジョンの策定やお金のブロックパズルを学んでおります。現在、一般社団法人日本キャッシュフローコーチ協会に所属しています。