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回答
募集の段階で、年齢不問としているのであれば、年齢を理由に不採用とするのは法令違反です。
ではどうしても年齢制限をしたい場合はどうすれば良いのでしょうか?
法令上は、採用の段階だけでなく、募集の段階でも年齢制限を設けることはできません。
しかし、法令に則った上で、募集時に年齢制限を設けることはできます。
*「法令に則った上で」というのが大事なポイントなので、詳しくは下記解説をご覧ください。
年齢のみを理由にするわけではないけれど、年齢を含めた総合的判断というのは許されるのでしょうか?
筆者が公的機関に確認したところ、上記のようなケースも法令違反との回答でした(年齢不問で求人を行っているという前提です)。
「仮に応募者の年齢が分からない状況であったとしたら、当該応募者を採用するかどうか?」
といった判断が求められているのかもしれません。
解説
募集と採用の段階において年齢制限を設けられない法的根拠
使用者側にも採用の自由が認められており、募集方法や、採用人数、採用基準を自由に決定できるのが原則です。(民法の契約締結自由の原則)
しかし、法律その他による特別の制限もあることを判例は述べており、今回の年齢制限もその例外の一つです。
事業主は、労働者がその有する能力を有効に発揮するために必要であると認められるときとして厚生労働省令で定めるときは、労働者の募集及び採用について、厚生労働省令で定めるところにより、その年齢にかかわりなく均等な機会を与えなければならない。
この規定に違反する採用拒否は、不法行為(民法709条)の損害賠償の対象となりうるとされています。
募集時に許される年齢制限とは?
募集時に許される年齢制限は下記の通りです。

多くの求人で見られる上記例外事由3号イを利用検討することがあると思いますが、下記のような注意点があります。
長期勤続によるキャリア形成を図る観点から、若年者等(注)を期間の定めのない労働契約の対象として募集・採用する場合には、
① 対象者の職業経験について不問とすること(=未経験可とすること)
② 新卒者以外の者について、新卒者と同等の処遇にすること
の2点を守らなければいけません。
*なお上記2点が守られていれば、ハローワークへの求人掲載においても、特別に必要な書類はありません。
そのためこの例外事由を利用しながら、職種経験者採用とすることはできないということです。
なお上記②「同等の処遇」とは、新卒者と同様の訓練・育成体制、配置・処遇をもって育成しようとしている場合を指すものです。賃金などが新卒者と完全に一致しなければならないということではありません。
まとめ
- 募集・採用の段階で、年齢のみを理由に不採用とすることは許されない。
- 特定の年齢層を採用したいのであれば、法律上許される例外事由を設けて募集を行う。
おすすめの参考資料
例外事由について詳しく解説されているだけでなく、年齢制限をしないことのメリットについて、実際にあった例を交えながら解説されています。