長期間の治療が必要な疾病を抱えた労働者のための休暇制度です(制度導入は任意)

第29条 (病気休暇) 

労働者が私的な負傷又は疾病のため療養する必要があり、その勤務しないことがやむを得ないと認められる場合に、病気休暇を_日与える。

条文の目的・存在理由

長期にわたる治療が必要な疾病を抱えた労働者に対し、休暇が付与される制度です。
しかし病気休暇については労働基準法上必ず定めなければならないものではありません。
したがってまずは法定の有給休暇などをより取得しやすくさせる必要があります。
それでも会社として余裕がある場合に制度を設けるべきでしょう。
なお国内企業の病気休暇に関する調査の結果について下記のようなものがあります。

厚生労働省「働き方・休み方改善ポータルサイト」より引用  https://work-holiday.mhlw.go.jp/kyuukaseido/recuperation.html

リスク① 不正取得防止について

私傷病により働けない場合のための制度であることから、必要最小限度で与える旨を明記した方が良いでしょう。
また不正取得を許さないためにも、手続き方法についても明記し、場合によっては医師の診断書の提出を求める旨も記載しておく必要があります。

リスク② 賃金の取り扱いについて

これまでの休暇に関する条文と同様に、上記モデル条文には、病気休暇取得期間中の給与について一切記載がないため、明記すべきです。
会社が有給か無給かを決めることができますが、決める際に健康保険の傷病手当金について考慮する必要があります。
傷病手当金との兼ね合いで、待機期間の3日間を有給とするのも一考です。
傷病手当金の概要は下記の通りです。

傷病手当金について

・業務の病気や怪我で療養中である場合に支給(業務の傷病は労災保険)
・労働者の私傷病による欠勤に伴って、賃金が支払われないときは、所得補償を目的に、健康保険から賃金(標準報酬月額)の3分の2相当が支給されます。
・会社から傷病手当金以上の給与が支払われている場合は不支給
・会社から傷病手当金に満たない給与が支払われている場合は差額支給
・療養のために仕事を休み始めた日から連続した3日間(待期期間)を除いて、4日目から支給対象

改善案

第29条 (病気休暇) 

1 労働者が私的な負傷又は疾病のため療養する必要があり、その勤務しないことがやむを得ないと認められる場合に、療養に必要な最小限度の期間の病気休暇を与える。この病気休暇は、毎年4月1日に10日分を労働者に付与し、翌年度以降への繰越は出来ないものとする。

2 病気休暇を利用する労働者は、事前に会社の承認を受けなければならない。但し、やむを得ない場合は、事後において承認を求めることができる。 手続きを怠った場合は、無断欠勤の扱いとする。

3 病気休暇は無給とする。

4 会社は、必要に応じて、医師の診断書の提出を求めることがある。

参考判例

電電公社武蔵野通研事件 東京地判 昭和51年12月23

事件概要

電電公社職員(原告)が、遅刻と早退の際に病気休暇願を提出して病気休暇を請求した。
原告は、2日以内の病気休暇請求を長期的かつ断続的に行なっていた。
そのため電電公社側は、原告に対し、当該病気休暇請求に対し、所属長が指定する医師の診断書の提出を求めた。
しかし原告は正当な理由なく提出を拒否したため、会社側は無断欠勤扱いとした。
原告は、当該措置は違法であるとして慰謝料を電電公社側に請求した事件。
原告請求は棄却された。

就業規則との関係において

判決では、病気休暇は就業規則で認められた労働者の権利であるとしつつも、その承認の権限は所属長にあるとしました。
さらに承認の判断に際し、所属長指定の医師でない一般医師の証明書では判断できない場合には、改めて所属長指定の医師の診断書の提出も求めることができるとしました。

また、病気休暇請求の都度に、指定医師の診断書提出を強いるのは不当であるとしました。
しかし、その代わりに、相当の期間ごとに指定医師の診断書提出を求め、請求の都度に病院の請求書や直属の上司の証明書提出で対応するといった方法を提示しました。
本件については、原告は正当な理由なく指定医師の診断書の提出を拒んだことから、原告の請求は棄却されました

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