欠勤控除の計算方法について、法律上の規定はありません

第43条 (欠勤等の扱い)

1 欠勤、遅刻、早退及び私用外出については、基本給から当該日数又は時間分の賃金を控除する。 

2 前項の場合、控除すべき賃金の1時間あたりの金額の計算は以下のとおりとする。 
(1)月給の場合 基本給➗1か月平均所定労働時間数
   (1か月平均所定労働時間数は第38条第3項の算式により計算する。)
(2)日給の場合 基本給➗1日の所定労働時間数

条文の目的・存在理由

有給休暇は例外ですが、会社は、労働者が働いていない時間に対して賃金を支払う必要はありません(ノーワーク・ノーペイの原則)。
これは当然のルールですので、就業規則への記載がなくとも、ノーワーク・ノーペイの原則は適用されます。
しかし、労使間のトラブルを避けるためにも記載しておくことをお勧めします。

欠勤控除の計算方法について

欠勤控除の計算方法について、法律上の規定はありません。そのため会社で合理的な計算方法を定めることができます。
モデル条文では基本給だけを基に控除すべき額を計算していますが、所定内給与(割増賃金額計算に使用する部分)に含まれる各種手当も欠勤控除の計算対象に含めることができます。

例1)月給の場合 (基本給+家族手当+住宅手当)➗1か月平均所定労働時間数
例2)月の所定労働日を分母にして、欠勤控除する方法 → 全ての所定労日を欠勤するとゼロ円になります。

注意点

・実際の不就労時間を超えた控除は、「減給の制裁」で懲戒処分の問題です。

・会社が一方的に、欠勤と休日出勤を相殺できません。しかし、個別に労働者と合意を得ている場合は、欠勤と休日出勤を相殺できます。
 ただしこの場合でも、時間外労働や休日出勤に伴う割増賃金は支払う必要があります(労働基準法第37条)。

・所定労働日を会社都合で休業とした場合は、欠勤控除の対象になりません。この場合は、労働基準法第26条の休業手当の問題です。

・有給の休暇は欠勤控除の対象になりません。

・欠勤と残業が同じ月に発生していれば、残業代を全額支払う必要があります。
 ただし固定残業代(みなし残業手当)を支給している場合は、上記で述べたように欠勤控除の対象とすることも可能です。
 しかし、みなし残業時間を超える一方で、欠勤も同時に発生した月は計算方法が複雑になります。
 そのため、固定残業代(みなし残業手当)は欠勤控除の対象としないするのも一考です。

・遅刻などの労働者自身の責任によるものや、ストライキや労災事故が原因の欠勤もあり得ます。
 そのような場合、賞与の算定にあたり欠勤分を控除して計算することは問題ありません。
 その不就労期間は、会社の業績に貢献していないことから当然の帰結と言えます。下記判例参照。

リスク 月ごとの労働日数が違うために起きうること

モデル条文によれば1ヶ月平均所定労働時間数は、モデル条文就業規則第38条第3項の算式により計算するとしています。

実際の所定労働日数は月によって異なってきます。
したがって極端な例で言うと、下記のようなケースが出てくる可能性があります。

・1ヶ月全て欠勤した月の給与がプラスになってしまうケース(1ヶ月の所定労働日数が上記計算式よりも多い場合)
・1日だけ出勤した月の給与がマイナスになってしまうケース(1ヶ月の所定労働日数が上記計算式よりも少ない場合)

このような事態を防ぐ方法としては、下記のような方法があります。

①欠勤があった月の実際の所定労働日数を基に、欠勤控除を行う。
②欠勤日数が一定の日数を超えた場合は、その月の欠勤した分を控除するのではなく、その月の出勤した日数分だけ、日割りで給与計算する(就業規則への記載は必要です)。

改善案

第43条 (欠勤等の扱い)

1 欠勤、遅刻、早退及び私用外出については、基本給から当該日数又は時間分の賃金を控除する。 ただし、欠勤日数が3日間を超えた場合は、控除せず、 実際の就労日数相当額を第3項の算式により計算し支払う。 

2 前項の場合、控除すべき賃金の1時間あたりの金額の計算は以下のとおりとする。 

(1)月給の場合 基本給➗1か月平均所定労働時間数
   (1か月平均所定労働時間数は第38条第3項の算式により計算する。)
(2)日給の場合 基本給➗1日の所定労働時間数

参考判例

東洋オーチス・エレベータ事件 最三小判 昭和48年12月18日

事件概要

労使間の賞与協定には、欠勤控除条項「欠勤一日につき一率分賞与の150分の1をカットする」という規定があった。
そして会社は、ストライキによる不就労があった労働者に対し、当該規定に基づいて賃金カットを行った。
労働者は当該賃金カットを不当として、カット分の賃金を請求した事件。

就業規則との関係において

この事件における争点は、下記の通りです。

① ストライキが理由の欠勤に対しても、欠勤控除条項が適用されるか?
② ①が認められるにしても、当該賃金カットが、憲法により保証された争議権を不当に抑圧するものにならないか?

判決では、ストライキが理由の欠勤に対しても欠勤控除条項が適用されると判断しました。
さらに、本件欠勤控除条項程度の控除であれば、争議権を抑圧するほどのものではないとの判断が下されました。

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