賃金の非常時払い制度は、罰則付きで法律に定められています

第46条 (賃金の非常時払い)
労働者又はその収入によって生計を維持する者が、次のいずれかの場合に該当し、そのために労働者から請求があったときは、賃金支払日前であっても、既往の労働に対する賃金を支払う。 

 ①やむを得ない事由によって1週間以上帰郷する場合 

 ②結婚又は死亡の場合 

 ③出産、疾病又は災害の場合

 ④退職又は解雇により離職した場合

条文の目的・存在理由

労働基準法第25条
使用者は、労働者が出産、疾病、災害その他厚生労働省令で定める非常の場合の費用に充てるために請求する場合においては、支払期日前であっても、既往の労働に対する賃金を支払わなければならない。

労働基準法施行規則 第9条
法第25条に規定する非常の場合は、次に掲げるものとする。
1.労働者の収入によつて生計を維持する者が出産し、疾病にかかり、又は災害をうけた場合
2.労働者又はその収入によつて生計を維持する者が結婚し、又は死亡した場合
3.労働者又はその収入によつて生計を維持する者がやむを得ない事由により1週間以上にわたつて帰郷する場合


上記のように賃金の非常時払い制度は、法律で定められています。
就業規則の絶対的必要記載事項ではなく、記載は必須ではありません。
しかし、制度を知らない労働者がいることも想定されるため、就業規則への記載をお勧めします。

なお会社が、賃金の非常時払いを拒否した場合、会社は30万円以下の罰金に処されます(労働基準法第120条1号)。
この賃金の非常時払い制度についての注意点は下記の通りです。

賃金の非常時払い制度についての注意点

・「労働者の収入によつて生計を維持する者」とある通り、親族である必要はありません。
 親族であっても生計が独立していれば、「労働者の収入によつて生計を維持する者」には当たりません。

・「疾病」には、業務上の疾病や負傷はもちろん、業務外の私傷病も含まれます。

・「災害」には、人災だけでなく、地震や火災等の自然災害を含まれます。

・請求があった場合に支払わなければいけないのは、既に労働があった分に限ります。
 月給制の場合は、勤務した日数に応じて賃金を日割りで支払います。

・「④退職」の場合は、退職して請求があった日から7日以内に支払わなければいけません(労働基準法第23条)。
 それ以外の項目は、明確な期限は定められていません。
 しかし労働者にとって急を要するケースが想定されるため、遅くとも1週間以内には支払うことが望ましいでしょう。

・支払金額は、既に労働があった分を超えなければ、労働者が指定した額で支払うことも差し支えありません。

リスク

この条文に関するリスクはありません。

改善案

第46条 (賃金の非常時払い)
労働者又はその収入によって生計を維持する者が、次のいずれかの場合に該当し、そのために労働者(本人が死亡したときはその者の収入によって生計を維持されていた者)から請求があったときは、賃金支払日前であっても、既往の労働に対する賃金を支払う。 

 ①やむを得ない事由によって1週間以上帰郷する場合 

 ②結婚又は死亡の場合 

 ③出産、疾病又は災害の場合

 ④退職又は解雇により離職した場合

本人が死亡した場合の請求権者を明確にしておいた方が良いでしょう。

参考判例

この条文に関する参考判例はありません。

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