第46条 (賃金の計算期間及び支払日)
1 賃金は、毎月_日に締め切って計算し、翌月_日に支払う。ただし、支払日が休日に当たる場合は、その前日に繰り上げて支払う。2 前項の計算期間の中途で採用された労働者又は退職した労働者については、月額の賃金は当該計算期間の所定労働日数を基準に日割計算して支払う。
条文の目的・存在理由
賃金の締切日と支払日は、就業規則の絶対的必要記載事項であり、記載しなければいけない項目です。
労働基準法第24条2項にある通り、支払日は毎月1回以上、一定の期日を定めなければいけません。
したがって、モデル条文のように「〇日」のように指定するのはもちろん、「月末」としても問題ありません。
しかし、「毎月第4金曜日」とすると、支給日の間隔が、最大7日間の差が生じることになるため労働基準法違反となります。
また当然のことですが、賃金を所定の支払日に支払わないことは違法です。
所定の賃金支払日に未払となった場合、労働者は支払日の翌日からの遅延損害金を含め、未払賃金を請求することができます。
なお臨時に支払われる賃金、賞与、労働基準法施行規則8条で掲げられている手当等は、上記の毎月1回以上払いの原則は適用されません。
(参考)賃金支払5原則について
原則 | 例外 | |
①通貨払 | 現金で支払う | 労働者の同意により、銀行口座振込などが可能 |
②直接払 | 労働者本人に直接支払う | 代理人が渡すことは禁止だが、使者に渡すことは可能。例)派遣会社経由で派遣労働者へ支払う |
③全額払 | 全額支払う | 法定の税金や社会保険料、労使協定で定められた社内預金など |
④毎月1回払 | 毎月1回以上支払う | 臨時に支払われる賃金、賞与、労働基準法施行規則8条で掲げられている手当 |
⑤一定期日払 | 給料日を必ず特定する | 賃金支払日が休日に該当する場合は、前後の日を支払日とすること |
(参考)年俸制における賞与と毎月払の関係について
年俸制とは、一年ごとに給与額を労使の話し合いで決定する制度です。
しかし、上記5原則は年俸制の労働者に対しても適用されるので、会社は、給与総額を分割した額を毎月労働者に支払わなければいけません。
一方で賞与とは、「(労基法上の賞与は)勤務成績に応じて支給され、その額が予め定められていないもの」(通達 昭和22年9月13日付け発基第17号)と定められています。
これら年俸制と賞与に関して、下記のようなQ&Aがあります。
リスク 支払日が休日となった場合の注意点
モデル条文自体にリスクはありません。
しかし、支払日が休日に当たる場合に、「直後の所定労働日」といったように繰り下げる際は注意が必要です。
支払日を「30日」、特に「月末」としている場合は、支払日が翌月にずれてしまうケースが想定されます。
そうすると、毎月1回以上支払わなければいけないという労働基準法第24条2項の規定を逸脱してしまいます。
そのため、特段の事情がない限りは、モデル条文のように繰り上げで対応することをお勧めします。
改善案
改善案はありません。
参考判例
改善案はありません。
貴社の就業規則は望んだ通りの効果を発揮していますか?
就業規則診断士協会は、
経営者の傘(ビジョン・ミッション)に入る従業員と経営者を守る
という立場を明確にしております。
就業規則診断士協会のサービスをご利用いただくことで、下記の効果が得られます。
①経営者のビジョン・ミッションを言語化して就業規則に記載することで、経営と人事労務の判断軸ができ、行動が加速します。
②就業規則の条文にキャッシュフローの視点が入ることで、持続可能な人事制度の基盤を得られます。
③経営者とスタッフの、お金に関する危機感のズレを縮めます。
④就業規則診断士ならではの就業規則の考え方と、それによる就業規則の提案を受けられます。
くわしくは 「就業規則診断士協会を活用したい経営者の方へ」
ぜひお気軽にお問い合わせください。
一般社団法人 日本就業規則診断士協会
代表理事 寺田 達也