離職を防止する6つの対策!よくある3つの離職理由や離職を放置するリスクも解説

人材の流動性が高まっている昨今では、転職が特別なことではなくなってきています。しかしながら、社員が入社数年も経たないうちに離職してしまうような状況は、企業活動にとってリスクであり、企業の成長を阻むことも事実です。

今回のコラムでは、社員の離職防止に役立ついくつかの対策についてお伝えします。

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離職防止対策の前に!知っておくべき3つの離職理由

人間関係

人間関係は相手あっての問題なので、自分の努力だけではどうにもならないこともあります。パワハラやモラハラのような顕著な問題であれば会社としても対応できますが、合う/合わないなどの相性の問題に関しては当事者同士でなんとかするしかありません。あらゆる手を尽くしても職場での人間関係がうまくいかず、ストレスを感じるようであれば、離職を選択することもあるでしょう。

キャリアパス

成長意欲が高い20代、30代の社員にとって、入社後のキャリアパスが描けるかどうかは重要な問題です。やりがいを持って仕事に取り組み、自分自身の成長が昇格や昇級に繋がることが理想ですが、成長のための機会やサポートが会社になく、頑張りや成果が評価にも反映されないようであれば離職するかもしれません。

労働条件・環境

ワークライフバランスという概念が定着していることから、仕事と生活のバランスが重要視されるようになってきました。いくらやりがいがあって好きな仕事であっても、残業が多かったり給与が低かったりしたらその仕事を長く続けることはできません。特に結婚や出産などライフステージの変化があると職場によっては仕事と生活の両立が難しくなってくるので、より良い労働条件を求めて離職をする人は一定数います。

離職を防止せずに放置する4つのリスク

人材流出

社員の離職を放置しておくと、優秀な人材がどんどん社外へ流出し、会社の生産性が低下します。また離職する社員に対してかけた教育コストも無駄になり、新たに社員を取るための採用コストと入社後の教育コストも発生するので、二重の損失になります。

既存社員の負担増

社員の離職によって人手不足が生じ、既存社員への負担が増加します。また、急な穴埋めのために採用基準を満たしていない人材が増えると、指導や育成にも時間を奪われ、既存社員のパフォーマンスも落ちてしまいます。

企業イメージの低下

離職した人が元の職場の悪口をSNSなどに書き込むこともあり、企業イメージが下がることがあります。また、転職サイトや口コミサイトなどから離職率が知られることもあり、人が定着しない理由を憶測され、ネガティブな印象を持たれることもあります。

サービスの低下

社員の離職による絶対的な人材不足は、サービスの低下に直結します。業務の総量に対して最低限の人材も確保できていないようであれば、サービスの質の低下どころかサービス自体が成立しなくなり、このような状態が長く続くと廃業に追い込まれます。

離職寸前?離職リスクが高い社員の特徴とは?

上司との1on1で無反応

会社に対する不平不満を上司や同僚にぶつけているうちはまだいいですが、何も行動を起こさなくなったら本気で離職を考えている可能性が高いです。例えば上司との1on1で特に話すこともなく、明らかに反応が鈍い場合などがそれにあたります。何かを言っても結局は変わらないという諦めの境地に入っていて、波風を立てずにスッと辞めようと心に決めているかもしれません。

社内でコミュニケーションを取らない

これから辞めようとしている職場の人間に対して、積極的にコミュニケーションを取ろうとすることはあまりありません。職場に対する興味の消失とともに、人間関係もだんだんと疎遠になってくるのが自然な流れです。

しかし注意したいのは、心身の不調などで本当にコミュニケーションがうまく取れてないケースです。このような場合は産業医など連携しながら適切なケアを行う必要があります。

モチベーションが低い

離職を考えている人は、現職に対して興味や関心を失っているので意欲的に取り組むことが難しくなってきます。離職するかどうか悩んでいる状態でも注意力が散漫になり、ミスも増えるなど明らかにパフォーマンスの低下が見られます。

スキルがある・能力が高い

優秀な社員ほど職場に対する要求値も高くなります。やりがいのある業務や明確なキャリアパスが用意されていないのであれば、会社に対して自分自身がオーバースペックとなってしまい、自分の才能を持て余してしまうからです。また自分よりも明らかに能力の低い人が昇格したり、自分が成果をあげているにも関わらず評価に反映されなかったりすると会社対して不信感を抱くようになります。このように、能力と環境のミスマッチのある社員は離職を考えます。

離職の申し出があったらどう対処する?

離職の申し出には、

・残ってもらえる可能性がある

・どうしても引き留められない

この2パターンがあります。

会社としては社員の離職は回避したいと思うのが常なので、まずは離職したい理由を聞いてから、その理由を現実的に取り除く方法を検討してみましょう。例えば特定の上司に対する不平不満であればその上司を異動させることもできるなど、現実的な提案も含めて解決策を共に探りましょう。

他に、身内(夫や妻)の海外赴任に伴い、家族で移住するというようなケースがありますが、これは手の打ちようがありません。身内の転勤や介護・育児などが理由の場合は、会社としてできる限りの環境を用意しつつも、無理に引き止めないほうが良いでしょう。

個別に離職を引き止めるべく最善の対応をとっていたとしても、離職の申し出が続くようであれば会社に何かしらの原因があるのかもしれません。例えば悪質ないじめを繰り返す社員がいるケースも少なくありません。このようなケースでは、原因となる社員の解雇で被害の拡大を防ぐことができます。

そもそも離職を考えている人は悩みに悩んで決めたことでもあるので、離職を切り出されてしまった時にはすでに決心を固めてしまっていることがほとんどでしょう。理由を聞いたところで当たり障りない理由でごまかされてしまうので、できれば時間が経ってからでもあらためて離職理由を聞いて、本当の離職理由を知ることが重要です、原因を知ることによって、会社としても改善すべきところは改善し、今後の離職防止に繋げることができます。

離職者が後を絶たないような状況を放置しておくと一斉退職もあり得るので、離職の理由はきちんと把握しておくべきでしょう。

離職防止に効果的な6つの対策

残業を減らす

働き方改革が推進される中、残業を減らす、もしくは無くす企業が増えてきました。それでもなお残業が常態化している企業も一定数あり、そのような企業の社員は不満を抱いている可能性が高いので、離職を防止したいのであれば残業を減らすべきでしょう。

適切な評価制度を作る

社員の頑張りがきちんと反映される評価制度があると、社員のモチベーションは維持されます。特定の上司や人事責任者などの主観による評価ではなく、誰が評価しても同じになるような公正公平な評価基準であることが大切です。

福利厚生を充実させる

福利厚生が充実していると社員は自分が会社から大切にされていると感じ、会社に対するエンゲージメントが生まれます。資本力がある大企業ほど手厚い福利厚生があるというイメージがあるかもしれませんが、中小企業であっても趣向を凝らしたユニークな福利厚生を提供しているところはたくさんあります。福利厚生の内容で他社と差別化し、既存社員が自慢できるような福利厚生を提供しましょう。

困った時に言ってもらえる環境を作る

会社に対する不平・不満とまではいかなくとも、日常的な些細な悩みや困りごとを言い合える環境があることは大事です。その場合、同僚への相談では解決に繋がらないこともあるので、できれば上司やマネージャーに相談できることが理想です。

しかし、現実的には自分からはなかなか話を切り出せない社員も多くいると思うので、上司やマネージャーが定期的に1on1の機会を設けるなどして、積極的にコミュニケーションをはかることが大事です。

仕事が退屈にならない工夫

良くも悪くも、同じ仕事をやり続けると社員は自分の仕事に慣れてしまうので、定期的に業務内容を変えるか、業務の難易度を少しずつ上げていくことが必要です。人にもよりますが、社員のスキルは勤続年数に応じて上がってくるものなので、最初のうちは大変だった仕事もだんだんと余裕が出てきます。余裕がある状態が長く続くと緊張感がなくなり退屈してしまうので、社員のスキルに合わせて随時仕事の難易度を調整してあげることが重要です。また、スキルや能力の向上に応じて裁量権を徐々に増やしたり、適切に昇進させたり、部下を持たせたりするのも刺激になるでしょう。

会社のビジョンをきちんと決める

会社の理念や方針、方向性などは積極的に社員とシェアすべきです。会社のビジョンを伝えるのは経営陣の重要な役割なので、折に触れて社員に会社のビジョンを伝えて安心させましょう。会社のビジョンに共感して入社を決断した社員もいるかと思いますが、会社のビジョンは年月の経過とともに変わる部分もあります。そのようなときに、突然新しいビジョンを伝えるのではなく、既存社員の意見も拾いながら擦り合わせるようなイメージで新しいビジョンを決めて、社員の共感を得るようにしましょう。

まとめ

社員の離職は会社にとってリスクなので、せっかく採用した人材にはできる限り長く働いてもらいたいものです。

ここまででご紹介してきたように離職を防止する方法はいくつかありますが、まずは離職してしまった社員の退職の理由を聞いてから、経営に活かしていくことが重要です。離職時や離職直後は理由を聞き出すことは難しいかもしれませんが、時間が経ってから本当の離職理由を聞けることもあるので、離職してしまった社員を放置せずに理由を聞き出してその後の経営に活かしましょう。

日本就業規則診断士協会では、退職者に対する離職理由のインタビューを通じて離職理由を解消するお手伝いもしています。また、就業規則の改善によって、離職率の低下や定着率の向上を図るお手伝いもしています。

就業規則には社員の細かい行動規範を規定する以外にも、会社のビジョンや方向性を提示する役割もあるので、就業規則を改善することによって社員との信頼関係を強化することができます。

私たち日本就業規則診断士協会では、就業規則の作成や改善に関する様々なサポートを行っています。社員の離職でお悩みの経営者の方は、ぜひお気軽にご相談ください。