年次有給休暇の取得率を上げて、優秀な職員の定着と採用につなげたいと考えています。取得率を上げるにはどのような方法がありますか?

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回答

年次有給休暇の取得を促進する制度として、下記を設けると良いでしょう。

・年次有給休暇の計画的付与制度
・半日単位や1時間単位の年次有給休暇制度

ただし、制度だけ設けても取得率が上がるわけではありません。

・特定の人物にしかわからない業務が多々ある。
・「年次有給休暇取得は、周りの職員に迷惑がかかるから」と多くの職員が考えている。

といった状況では、おそらく取得率は一向に伸びないでしょう。

まずは取得しずらい理由について、職員対象のアンケートを実施することをお勧めします。
そして、アンケート結果に基づいて対策を練ることが必要でしょう。

年次有給休暇取得促進のために行われている実例として、下記があります。

・師長や主任といった幹部クラスが積極的に取得し、職場の雰囲気を変える。
・1ヶ月に1回は職場全員が年次有給休暇を取得することを目標とする。
・業務の属人化を避け、ノウハウを共有する。
・引き継ぎの方法を統一し、引き継ぎ不足等を原因としたトラブルが生じないようにする。

2019年4月から、全ての使用者(事業主)に対して「年5日の年次有給休暇の確実な取得」が義務付けられます。
*年10日以上の年次有給休暇が付与される労働者(管理監督者を含む)に対して、取得させなければいけません。

厚生労働省は下記解説を出しています。

「年5日の年次有給休暇の確実な取得わかりやすい解説」 https://www.mhlw.go.jp/content/000463186.pdf

解説

年次有給休暇の趣旨と必要性

年次有給休暇制度の目的としては以下のようなものが挙げられます。

・労働者の心身における疲労回復
・長時間労働の削減による労働災害の未然防止(過重労働がうつ病などに結びつきやすいと言われています)
・心身ともにリフレッシュすることで労働意欲を高める

また、近年ワークライフバランスを重視する労働者も増えています。
年次有給休暇の取得率を高めることは、優秀な人材の確保・定着にもつながるでしょう。

年次有給休暇の計画的付与とは

労使間で計画的に取得日を定めて、年次有給休暇を与えることが可能です。
製造業であれば、全労働者がお盆の時期に年次有給休暇を取得することもできるでしょう。
全労働者が休むことはできない業種であっても、年末年始において、各労働者が2日間を選んで年次有給休暇を取得するといった方法は可能です。
ただし、個々の労働者が自ら請求・取得できる(=自分で好きな日を選んで休める)年次有給休暇を最低5日残す必要があります。

なおこの計画的付与制度を導入するには、労使協定の締結が必要です(労働基準監督署への提出は不要です)。

1日に満たない単位での付与

1時間や半日単位の付与を導入することで、個々の労働者の事情に柔軟に対応できるでしょう。
(病院に通ってから出勤したい場合や、子供の授業参観に参加したいなど)
それぞれのポイントは下記の通りです。

1時間単位での年次有給休暇付与

・労働基準法第39条4項に規定されており、導入には労使協定が必要です。
・休暇に関する事項であるため就業規則への記載は必要です。
・本人取得可能年次有給休暇のうち最大5日を限度

半日単位の年次有給休暇

・法律上の定めはなく、労使協定は不要です。
・休暇に関する事項であるため就業規則への記載は必要です。

参考

年次有給休暇 概要
厚労省 年5日の年次有給休暇の確実な取得わかりやすい解説 https://www.mhlw.go.jp/content/000463186.pdf

関連就業規則解説

第5章 休暇等 第22条 年次有給休暇

第5章 休暇等 第23条 年次有給休暇の時間単位での付与