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前頭葉の衰えが日本をダメにしているかも、、、
まだまだ解明されていないことが多い人間の脳だが、大脳は、前頭葉、側頭葉、頭頂葉、後頭葉の四つの部分からなっている。
側頭葉は言語機能や形態の認知、後頭葉は視覚情報の処理、頭頂葉は空間認識、数字の操作などを司る。
そして前頭葉については、精神科医の和田氏は、書籍で次のように説明している。
思考力、判断力、集中力、創造性、意欲、感情のコントロールなどを司る以上に、変化に対応するための重要な役割を果たします。前頭葉の働きがいい人は、変化にうまく対応することができますが、この働きが悪い人や衰えてきた人は、なるべく前頭葉に楽をさせるように、変化を避けるようになります
「前頭葉バカ社会」和田秀樹(著)アチーブメント出版
和田氏は、この本で、日本の経済的な低迷、いわゆる「失われた30年」についての原因の一つが、この前頭葉の衰えによるもので、世界的な変化についていけなかったためという見解を示している。
これは非常に興味深い話であるが、日本全体までいかなくても、会社の人事労務を考えたとき、この前頭葉の視点から見ると合点のいくことがある。
前頭葉は40代から衰えが始まる
前頭葉は脳のなかでも、もっとも早くから萎縮し、衰えが始まると言われている。
情報処理などの日々の活動は、側頭葉や頭頂葉で処理できるため、前頭葉の老化について、自分で意識できることは少ない。
しかし、さきほども記載したが、前頭葉は変化に対応する役割がある。
そのため、前頭葉が衰えると変化を嫌い、前例踏襲を最も好むところとなる。
たとえば、会社で「来月から社内の管理ソフトをクラウド対応に変更する。
会計、見積、請求書などの書類が変更になるが、よろしく」と通知すると、たちまち反対をする社員たちがいる。
あるいは、「会社の9割の文書保管をデータにする。会議も全てオンラインで行う」と言うと、やはり反対する社員がいる。
こういった反対に対し先頭を切って口にする若手社員は少ない。
若手社員は、効率性や合理性で物事を判断する傾向が強いと思われる。
一方で、40代以上の社員は違う判断基準がある。
前頭葉が衰え始めると、「今までと同じ」というものが何より心地よく、そして新しいものはストレスに感じる。
そして、自分の過去の成功体験にすがって、目の前のことを判断しようとする傾向が強く残り、それを脅かされると反発する。
過去の成功体験や、過去の時代の価値観が判断基準となり、変化を受け入れられない。
つまり時代の変化や、ビジネスでいうと市場のニーズの変化に対応ができない。
つまりは「やる気がない」と映るのではないだろうか。
少し前によくニュースで目にした、いわゆる「働かないおじさん」というのも、実は前頭葉が衰えることで、時代の変化についてこれず、過去の成功体験にすがっている形なのではないだろうかと、思えてしまう。
前頭葉は鍛えられる
和田氏によると、前頭葉は鍛えられるという。その一つとして、アウトプットする習慣が挙げられている。
ブログを書いたり、日々議論をするなどまでいかなくても、人との会話を積極的にするだけでも、効果がある。
例えば、会社でできる取り組みでいうと、打ち合わせの際に「必ず1回以上発言する」といったことを習慣化するだけでも、前頭葉が刺激される。
また、他にも「クリティカル・シンキング」と言われる考え方も、有効である。
これは、物事や情報を、無批判に受け入れるのではなく、「それは本当か」「別の方法はないのか」と考えることだ。
つまり、「あたりまえ」を疑うという習慣である。
こちらも会社的な習慣でいうと、「新しい提案をするときには、かならずメリットだけでなく、デメリットも併せて提案する」と言ったルールを徹底することも、前頭葉の活発化につながる。