笑う門に福が来たと感じることはできる!
人は、幸せだから微笑むのではなく、笑顔をつくることで、嬉しさや幸せがこみあげてくるという仮説がある。
表情フィードバック仮説というものだが、長らくその是非について論争があった。
しかし、2022年に米スタンフォード大学(Stanford University)を中心とする国際研究チームにより、ついに「笑顔を作るだけで幸福度も高まる」ことを示す強い証拠が得られた。
3878人のデータを分析した結果、「笑顔の俳優の表情を真似る」「意識的に口角をあげて笑顔をつくる」という条件で、通常よりも、主観的な幸福度が顕著に増加していることを発見した。
つまり、表情をつくることで、その感情になるということが証明されたことになる。
まさに、笑う門には、少なくとも自分で「福が来た」という幸福感を感じることができるというわけだ。
これと似ている話がある。
「科学がつきとめた『運のいい人』」(中野信子・サンマーク出版)」によると、実は世の中で生きていると、幸運なことも不運なことも、誰の身にも平等に起きるそうだ。
中野氏によると、その誰にでも平等に起こる出来事に対して、主体的に対応できる人が、運がいい人であるとのこと。
運がいい人は、自分が運がいいと決めていて、例えば、何か失敗してしまったとしても、その失敗について「改善のチャンス、運がいい」と思えて努力のする余地が生まれる。
逆に、運が悪いと思ってしまったら、運のせいにして、改善の余地はなくなることになる。
そう考えると、「運がいい」というものは、根拠がなくても自分が運がいいと決めていて、マイナスなこともプラスなことも、全て自分の成長や改善につながるためのものだというように、ポジティブに捉えることができる人ということになる。
つまり運がいいから、ポジティブなわけではなく、ポジティブに捉えるから、運がいい人に見えるというわけだ。
好きなことが一緒よりも、「嫌いなことが一致しない」 ことに気を付けたほうがいい
松下幸之助といえば、世界的企業であるパナソニックの前身、松下電機の創業者で、日本を代表する経営の神様と言われる人である。
幸之助は22歳のときに、それまで勤めていた電灯会社を辞めて事業家としての人生を歩み始めたが、そのときの状態は、財産もない、学歴もない、健康にも恵まれない、両親も兄弟姉妹の大半も亡くなっていて、文字どおり「ないない尽くし」からの出発であった。
ところが幸之助は、こうした状況を、マイナスと捉えてはいなかった。幸之助自身、次のように述べている。
- 生来からだが弱かったがために、人に頼んで仕事をしてもらうことを覚えた。
- 学歴がなかったので、常に人の教えを請うことができた。
- 丁稚奉公に出されたので、そのおかげで幼いうちから商人としての躾を受け、世の辛酸を味わうことができた。
- お金がないから一歩一歩着実に計画を立て、銀行が与えてくれる信用の範囲内で融資を受け、事業をやってきた。そのおかげで不況でも好況でも一貫して自己のペースで活動することができた。
(松下幸之助.comより抜粋 https://konosuke-matsushita.com/biography/)
「何もなかったから、かえって成功した」というわけだが、これはまさに、運のいい人の捉え方に他ならない。
これらのマイナス要因を、「運が悪い」と捉えていては、到底、世界企業にまで到達することはなかっただろう。
その松下幸之助だが、採用試験で必ず最後に聞く質問が「君は運がいいか?」であったという。
そして「はい、運がいいです」と答えた人のみを採用したそうだ。
これは、松下幸之助自身も、「運がいい」と言い切れる人は、物事をポジティブに捉えて成長できる人だと思っていたからではないだろうか。
少なくとも「自分は運がいい」と思い込むことが大事である。
そして、まずはコメディ映画かお笑いのYouTubeで笑ってみるのもいいかもしれない。
いつもの同じ景色や同じ出来事でも、違った見え方になり、そして違う捉え方ができるかもしれない