育児・介護休業等に関する定めは、育児介護休業法に基づいています

第27条 (育児・介護休業、子の看護休暇等)

1 労働者のうち必要のある者は、育児・介護休業法に基づく育児休業、介護休業、子の看護休暇、介護休暇、育児・介護のための所定外労働、時間外労働及び深夜業の制限並びに所定労働時間の短縮措置等(以下「育児・介護休業等」という。)の適用を受けることができる。 

2 育児・介護休業等の取扱いについては、「育児・介護休業等に関する規則」で定める。

条文の目的・存在理由

上記記載の育児・介護休業等に関する定めは、育児介護休業法に基づいています。
したがって就業規則で定める規定は、育児・介護休業法の基準以上の保護を内容とするものでなければいけません。

また、この条文も「休暇」に関する事項であるため、就業規則の絶対的必要記載事項です。
法律に定めがない会社独自のルールを追加するにしても、育児介護休業等の取得を抑制するようなものは許されません。

育児・介護休業等に関する規則の規定例(厚生労働省作成)はこちらから閲覧・ダウンロードできます。

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/000103533.html

*子の看護休暇について

育児・介護休業法施⾏規則等が改正され、令和3年1月1日より、⼦の看護休暇・介護休暇が時間単位で取得できるようになりました。
法改正の趣旨は、育児や介護を⾏う労働者が⼦の看護休暇や介護休暇を柔軟に取得できるようにすることです。

この法改正に合わせて就業規則の改訂が必要になります。
しかし⼦の看護休暇や介護休暇を時間単位で取得させることが困難な業務もあるでしょう。
その場合は、労使協定を締結することで、時間単位の休暇制度の対象からその業務に従事する労働者を除外できます。

時間単位で利⽤できる有給の⼦の看護休暇制度や介護休暇制度を導⼊し、休暇を取得した労働者が⽣じたなどの要件を満たした事業主には、両⽴⽀援等助成⾦が⽀給されます。


厚⽣労働省 都道府県労働局雇⽤環境・均等部(室)作成リーフレットより
https://www.mhlw.go.jp/content/11900000/000582033.pdf

リスク① 対象者について

上記「育児・介護休業等」を取得可能な対象者に関し、労使協定を締結することによって一定範囲の者を適用除外することができます。
上記条文例だと、無条件に誰でも取得できると誤解を招く恐れがあります。
したがって委任先の育児・介護休業等に関する規則だけでなく、本条文にも対象者は限られることを明記すべきでしょう。

また、育児・介護休業等は労働者からの申出があって初めて取得できる者であるため、その点も明記すべきでしょう。
育児・介護休業等の対象から適用除外できる場合は下記の通りです。

法令上当然に与える必要がないケース

・日雇い労働者
・申出時点で、同一の事業主に引き続き雇用された期間が1年未満の「期間雇用者」
・休業終了後、引き続き雇用される見込みがない「期間雇用者」

労使協定を締結することによって適用除外できる労働者

・雇用された期間が1年未満の労働者
・育児休業の場合は1年(1歳6か月までの育児休業の場合は、6か月)以内、介護休業の場合は93日以内に雇用関係が終了する労働者
・週の所定労働日数が2日以下の労働者

上記によれば、入社1年未満の、期間の定めのない雇用契約を結んでいる労働者の場合は、労使協定を締結することによって初めて適用除外できます。
労使協定なしに適用除外できる入社1年未満の労働者は、期間雇用者の場合だけです。

リスク② 休業・休暇期間中の給与について

上記モデル条文には、育児・介護休業等取得期間中の給与について一切記載がないため、明記すべきです。
労働基準法には定めがなく、会社が有給か無給かを決めることができます。
ノーワーク・ノーペイの原則により、記載がなくとも無給として問題はありませんが、周知のためにも明記すべきでしょう

改善案

第27条(育児・介護休業、子の看護休暇等)

1 労働者のうち必要のある者は、会社に申し出て、育児・介護休業法に基づく育児休業、介護休業、子の看護休暇、介 護休暇、育児・介護のための所定外労働、時間外労働及び深夜業の制限並びに所定労働時間の短縮措 置等(以下「育児・介護休業等」という。)の適用を受けることができる。 

2 前項目に定める育児・介護休業等の対象者、期間、手続などについては、「育児・介護休業等に関する規則」で定める。 

3 育児・介護休業等に関する期間は、無給とする。

*子の看護休暇について(改正育児介護休業法 令和3年1月1日施行予定)
第○条
1 ⼩学校就学の始期に達するまでの⼦を養育する従業員(⽇雇従業員を除く)は、負傷し、⼜は疾病にかかった当該⼦の世話をするために、⼜は当該⼦に予防接種や健康診断を受けさせるために、就業規則第◯条に規定する年次有給休暇とは別に、当該⼦が1⼈の場合は1年間につき5⽇、2⼈以上の場合は1年間につき10⽇を限度として、⼦の看護休暇を取得することができる。この場合の1年間とは、4⽉1⽇から翌年3⽉31⽇までの期間とする。


2 ⼦の看護休暇は、時間単位で始業時刻から連続⼜は終業時刻まで連続して取得することができる。

参考判例

日欧産業協力センター事件 東京地判 平成15年10月31日

事件概要

原告(英国国籍を有する女性)は、被告(日欧産業協力センター)と1年の労働契約を締結した。
いずれの当事者からも異議がない限り自動的に更新する条項があったため契約はその後も6年間継続されていた。
原告が第三子を出産した際に、約10ヶ月間の育児休業取得を被告に請求した。

被告は、原告は1年毎の有期雇用であるとして、育児休業の請求を拒んだ。
そしてその後も、今後の雇用関係の合意がまとまらなかった。
被告は、現契約が終了したことを理由に雇止めを原告に通告した。

原告は労働契約上の地位確認と賃金請求ならびに育児休業申請を拒否、雇止めに及んだことに関して不法行為に基づく損害賠償請求(慰謝料及び弁護士費用)を求めた事件。

就業規則との関係において

本事件の判決において、

・6年間もの間、書面でもロ頭でも更新手続きが一切ないこと
・原被告間で期間の定めがあることを確認する手続きが一切なされていなかったこと
・更新手続きに関して、契約書作成がなく、ロ頭での更新意思確認もなかったこと

等が総合的に考慮され、当初契約の更新後は期間の定めのない労働契約として雇用されていたと認められるとしました。
そして労働契約法上の地位確認や、賃金請求、不法行為に基づく損害賠償請求などの原告側の請求が認められました。

現在では法律が改正され、下記の条件を満たせば有期雇用契約者も育児休業取得出来るようになりました。

①申出時点で過去1年間継続して雇用されている
②子が1歳6ヵ月になるまでの間に雇用契約がなくなることが明らかである者を除く

上記条件②に関して厚生労働省が下記のように解説しています。

育児休業や介護休業を取得することができる有期労働契約者についてhttps://www.mhlw.go.jp/bunya/koyoukintou/pamphlet/pdf/ikuji_h28_11_01.pdf
代表者

貴社の就業規則は望んだ通りの効果を発揮していますか?

就業規則診断士協会は、
経営者の傘(ビジョン・ミッション)に入る従業員と経営者を守る
という立場を明確にしております。

就業規則診断士協会のサービスをご利用いただくことで、下記の効果が得られます。

①経営者のビジョン・ミッションを言語化して就業規則に記載することで、経営と人事労務の判断軸ができ、行動が加速します

②就業規則の条文にキャッシュフローの視点が入ることで、持続可能な人事制度の基盤を得られます

③経営者とスタッフの、お金に関する危機感のズレを縮めます

④就業規則診断士ならではの就業規則の考え方と、それによる就業規則の提案を受けられます

くわしくは 「就業規則診断士協会を活用したい経営者の方へ」

ぜひお気軽にお問い合わせください。

一般社団法人 日本就業規則診断士協会 
代表理事 寺田 達也