従業員の有給についてですが、昨年からの繰り越し分を優先して消化するのではなく、当年分を優先して消化することは可能ですか?

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回答

従業員から年次有給休暇の申請があった場合、当年分から消化していくことは違法ではありません。

年次有給休暇は、発生の日から2年間で時効により消滅する(労働基準法第115条)という規定があるのみで、繰越分から優先して消化させなければいけないという規定はありません。

ほとんどの事業所が、消滅が迫っている繰り越し分から消化させていますが、中には労働者にすぐに取得させるためにあえて、当年分から消化させるという運用をしているところもあります。

ただ、労働者の感覚としては、時効によって消滅しやすい分から消化して欲しいと考えるのが通常です。

したがって、当年分から消化させるのは違法ではありませんが、労働者の反発や不信を招きかねないことから、おすすめはしません。

解説

年次有給休暇の時効について

前述のとおり、年次有給休暇の時効について、下記の通り規定があります。

この法律の規定による賃金の請求権はこれを行使することができる時から五年間、この法律の規定による災害補償その他の請求権(賃金の請求権を除く。)はこれを行使することができる時から二年間行わない場合においては、時効によつて消滅する。

労働基準法第115条

上記規定は、年次有給休暇の消化順序について規定したものではなく、単純に時効の期間を定めたにすぎません。

そのため、就業規則で定めれば、新しく付与された有給から消化も可能といえます。