パートの有給の金額はどのように決めたら良いでしょうか。勤務日によって所定労働時間もバラバラなので、悩んでいます。

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回答

パート労働者の1日当たりの有給の金額については、労働基準法上、下記が規定されています。

  1. その日の労働時間 ✖️ 時給
  2. 平均賃金(労働基準法39条9項)*平均賃金についての詳細は、下記解説をご覧ください。
  3. 標準報酬日額

基本路線としては、1の「その日の労働時間 ✖️ 時給」で、良いでしょう。

しかし、半日勤務や全日勤務が混在している場合や、労働時間が日によってバラバラなケースは、取得日によって、損得の差が生じます。

全日勤務の日に有給を取得した方が、もらえる額は多くなるためです。

そこで、当協会では、下記の方法での支給をご案内しています。

パートタイマーやアルバイトが有給休暇を取得した場合の1日あたりの金額(オススメ)

付与日直前(6ヶ月あるいは1年)の勤務実績をもとに、1日あたりの労働時間を算出します。

具体的には、勤務時間合計(残業は含みません) ➗ (勤務日数)

*すでに勤務開始から6ヶ月を経過しており、有給付与が2回目以降の労働者に対しては、有給1日あたりの付与時間を分子に含め、有給取得日数を分母に含めて計算します。

下記が弊所でご案内しているおすすめの方法です。

上記方法であれば、経営者としても労働者としても、納得感が得られ、みなさんこの方式にご満足いただいています。

なお上記方法は、労働基準法に規定されている方法ではありませんが、平均賃金を上回るため問題ありません。

解説

有給の計算方法を変更する場合も、不利益変更にあたりうるか?

有給の計算方法については、下記の方法が労働基準法39条9項により規定されています。
下記計算式での金額を上回っていれば、独自の方法で支給することも問題はなく、前述のオススメの方法でも問題ありません。

有給計算の3種類の方法

⒈平均賃金(直近過去3ヶ月分の平均賃金を使用)

⒉所定労働時間労働した際に支払われる通常賃金

⒊健康保険法に定める標準報酬月額の30分の1相当の金額 (この3の場合は労使協定の締結が必要です)

では、これらの方法間で変更する場合も、労働条件の不利益変更にあたるのでしょうか。

従前の額よりも減ってしまうのであれば、不利益変更にあたり、所定の手順を踏む必要があります。

ここでは詳細な説明はしませんが、下記厚生労働省資料がわかりやすく案内されています。

労働契約法のポイント (厚生労働省資料)

半日勤務の場合の有給使用日数

半日勤務する日も全日勤務する日も、使用日数を1とすること自体は法律上問題ありません。

しかし、このような運用をすれば、半日勤務日ではなく、全日勤務日に有給を取得することを希望するケースが多くなるのは予想できます。

そこで、「半日勤務日は、0.5日消費する」という運用方法がオススメです。

また、同様に「午前中働いて、午後有給休暇といった場合も、0.5日消費」という運用で良いと思います。