深夜割増賃金に相当するものとして、夜勤手当を一律5000円支払っています。法的問題はありますか?

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回答

就業規則や賃金規程に、深夜割増賃金に相当するものとして夜勤手当を支払う旨の記載があるかどうかが重要なポイントです。
以下、記載の有無に分けて回答します。

就業規則に記載がある場合

深夜割増賃金に相当するものとして、夜勤手当を支払うことに問題はありません。

しかし、夜勤手当の額が、労働基準法第37条第4項で定められた深夜割増賃金の額を下回っていないかどうか注意が必要です。

つまり、深夜業務を行なったある従業員について、深夜割増賃金相当額を計算した結果、その額が5000円を超えていれば違法となります。

就業規則に記載がない場合

夜勤手当が、深夜割増賃金と別の「労働者に対する労い」と判断される可能性が出てきます。
その場合、深夜割増賃金の未払いとなり、違法となってしまいます。

労働者が「労働者に対する労い」という性格で夜勤手当を捉えていたとしましょう。
その場合、労働者が別途深夜割増賃金を請求すれば、支払いが必要となる可能性が高いでしょう。

一方でただ単に記載が漏れており、労働者側も深夜割増賃金として夜勤手当を捉えていれば、大きな問題にはならないと考えられます。

いずれにせよ、速やかに労使双方で夜勤手当の解釈について確認しあった上で、就業規則に記載しなければいけません。

解説

実際に支給する割増賃金の計算方法は、会社が決められます

労働基準法第37条第4項
使用者が、午後十時から午前五時まで(厚生労働大臣が必要であると認める場合においては、その定める地域又は期間については午後十一時から午前六時まで)の間において労働させた場合においては、その時間の労働については、通常の労働時間の賃金の計算額の二割五分以上の率で計算した割増賃金を支払わなければならない。

法律で規定しているのは、深夜割増賃金額の最低基準である25%以上ということだけです。
したがってこの基準を超えていれば問題はありません。

なお割増賃金の計算に当たっては、労働者の1時間あたり賃金(時間給)は労働者ごとに異なります。
そのため所定労働時間や月給が異なる場合は、労働者ひとりひとりについて、夜勤手当額に問題がないかどうか確認する必要があります。
割増賃金の計算方法については、下記「参考」にて概説します。

注意

すべての労働者の夜勤手当額が、全員一律同額で法的問題もなかったとします。
その場合、1時間あたり賃金が少額の労働者と、高額の労働者に同額の夜勤手当を支給していることになるため、労働者らに不公平感が生じるという別の問題が生じるかもしれません。
このような問題を解消する方法として、基本給に応じて夜勤手当額を変えるというのも一つです。

参考

割増賃金の計算方法について

前述の通り、労働基準法第37条で規定している計算方法による算出額さえ上回っていれば、同法に関する問題は生じません。
以下法定の計算手順について概説します。

①1ヶ月の平均所定労働時間を算出(下記計算式)

②1時間あたりの賃金額を算出(月給制の場合は下記計算式)

注意 

月の所定賃金額には、下記を除いて全て算入しなければいけません。
下記手当は労働と直接的な関連性が薄いため、除外が認められています。

①家族手当 ②通勤手当 ③別居手当④子女教育手当 ⑤住宅手当 
⑥退職金等臨時に支払われた賃金 ⑦賞与等1か月を超える期間ごとに支払われる賃金

③割増賃金率に基づいて割増賃金額を算出

「割増賃金の基礎となる賃金とは?」厚生労働省・都道府県労働局・労働基準監督署
https://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/roudou/gyousei/kantoku/dl/040324-5a.pdf

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