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回答
本人の同意があれば可能です。
ただし採用活動の一環として訊くのであって、採用活動と無関係の事項を訊くことは出来ないと考えるべきです。
なぜなら、応募者側は、採用活動に関連する事項を訊くことを承諾しているのであって、無関係のことまで訊くことを承諾しているとは考えられないためです。
そのため、そもそも就職差別に該当するようなことは訊けません。
なお口頭の同意で済ますことも法令上問題ありませんが、言った言わないのトラブル防止のためにも、書面やメールなどで同意を記録しておく方が良いでしょう。
リファレンスチェックとは、
採用活動中に、求職者の同意の下、当該求職者の勤務態度・状況や人柄などを、前職あるいは現職の関係者に問い合わせること
です。
外資系企業では58%の企業が、日系企業では23%の企業が導入していると言われています。
面接や応募書類に虚偽や誇張がないかといったことをチェックしたりすることが目的ですが、応募書類や面接ではわからない応募者の魅力などが発見できるといったこともあるようです。
解説
リファレンスチェック実施のメリットと留意点
面接や応募書類で把握した応募者の能力が、真実であるかどうかの判断の材料になりえます。
求職者が基本的には良いところしか言わないと考えられる一方で、前職関係者であれば客観的な意見を伝えてくれると考えられるでしょう。
ただし、あくまで一意見であるということに留意すべきでしょう。
求職者の前職入社直後の関係者と、業務に慣れてきて前職の中心従業員として働いている時期の関係者とでは、評価が異なることが想定されます。
従って、評価者によってブレが生じやすいようなについては一意見として訊くべきです。このような意見を鵜呑みにして、会社として採用すべき人物を不採用にしてしまうのは勿体無いと言えます。
一方で社内表彰の事実など、客観的な事実についての真偽については余程のことがない限り真実と考えて良いでしょう。
前職への確認(リファレンスチェック)実施における注意点
リファレンスチェックにおいて、上記で述べたのは特に法令違反となるものではありませんが、下記2点については、法令違反になる可能性もあるため、より確かな理解が必要です。
本人の同意があっても収集できない情報
採用活動において、下記事項は面接で訊くことが禁止されています。
*訊くことができるのはかなり特殊なケースです。特別な職業上の必要性が存在して、その業務の目的達成に必要な範囲で、収集目的を本人に伝えてから収集できることがあるとされています(平成11年11月17日 労告141第4 1(1))
- 人種、民族、社会的身分、門地、本籍、出生地その他社会的差別の原因となるおそれのある事項
- 思想及び信条
- 労働組合への加入状況
リファレンスチェックしてから内定取消をするのは簡単にはできない
採用内定通知を出した後は、労働者と会社との間に「始期付き解約権留保付労働契約」が成立します。
この契約を取り消すことができるのは、社会通念上相当とされる理由があるケースに限られるとされています。
上記のような事態に陥らないためにも、リファレンスチェックを行うのであれば、内定を出す前に行うという運用を徹底しなければいけません。
関連法令など
公共職業安定所、特定地方公共団体、職業紹介事業者及び求人者、労働者の募集を行う者及び募集受託者、特定募集情報等提供事業者並びに労働者供給事業者及び労働者供給を受けようとする者(次項において「公共職業安定所等」という。)は、それぞれ、その業務に関し、求職者、労働者になろうとする者又は供給される労働者の個人情報(以下この条において「求職者等の個人情報」という。)を収集し、保管し、又は使用するに当たつては、その業務の目的の達成に必要な範囲内で、厚生労働省令で定めるところにより、当該目的を明らかにして求職者等の個人情報を収集し、並びに当該収集の目的の範囲内でこれを保管し、及び使用しなければならない。ただし、本人の同意がある場合その他正当な事由がある場合は、この限りでない。
職業紹介事業者等は、個人情報を収集する際には、本人から直接収集し、又は本人の同意の下で本人以外の者から収集する等適法かつ公正な手段によらなければならないこと。
*「職業紹介事業者等」に、求人企業が含まれ、「本人以外の者」に前職企業関係者が該当します。
まとめ
- 本人の同意があれば、前勤務先に勤務態度などを確認することはできます。
- 本人の同意があっても、採用面接で訊いてはいけないことは、当然前職に訊くことはできません。
- 採用の可否判断に関連ないことを訊くことも出来ません。
- リファレンスチェックは、面接や履歴書での申告内容等の真偽を確かめられることもあります。
- リファレンスチェックは、万能ではなく、鵜呑みにするもの問題です。
- リファレンスチェックは、内定を出す前に行うように徹底するべきです。