外国人労働者の雇用における注意点

外国人労働者

外国人労働者を雇用するにあたって、絶対に行わなければいけないことは、在留カードの記載内容のチェックです。
有効期限内の在留カードを保有していることはもちろん、「就労制限の有無」、「資格外活動許可欄」のチェックを必ず行う必要があります。
*必要に応じて、「在留資格」の項目もチェックします。

この記事では、以下の項目について扱います。

  • 在留カードのチェックポイント
  • 外国人労働者の雇用にあたっての手続
  • 雇用における注意点

働くことが認められていない外国人を雇用した事業主や、不法就労をあっせんした者には、不法就労助長罪による処罰の対象になります(入管法73条の2第1項1号)。

Contents

在留カードとは?

在留カードには、在留資格の種類や日本国内での就労可否などについて記載されています。
日本に中長期間在留するすべての外国籍の方は、在留カードを携帯することを法律で義務付けられています。
*観光目的などで入国した外国人の方々には交付されません。

在留カードチェックのポイント

本人のもので、偽変造ではなく、有効期限内の在留カードであることをまずは確認しましょう。
*在留カードの偽変造の確認方法については、「『在留カード』『特別永住者証明書』の偽変造防止対策」をご覧ください。
その上で、以下の手順で在留カードをチェックしていくと良いでしょう。

出入国在留管理庁「在留カード及び特別永住者証明書の見方」より引用

1 「就労制限の有無」をチェック

  • 「就労制限なし」
    就労内容に制限がないため、問題なく採用できます。
  • 「〜就労活動のみ可」
    制限付きで就労が認められるため、どのような分野の職業に限定されるかを「在留資格」でチェックします。
  • 「就労不可」
    原則として就労はできない。
    ただし、就労時間や就労場所が制限される形で、就労できる場合があるので、裏面にある「資格外活動許可欄」をチェックします。
  • 「指定書により指定された就労活動のみ可」*ワーキングホリデーなど
    就労活動が特定されている別紙「指定書」をチェックします。
    「指定書」とは、在留資格が「特定技能」や「特定活動」等の方に交付されるものです。
    日本でできる活動等が記載されています。
    ただし、指定書があっても就労できない場合もあるので、記載内容をしっかり確認する必要があります。

2 「在留資格」の項目をチェック

下記のように在留資格が記載されています。
在留カードに記載の在留資格と、採用後に予定している業務内容が異なれば、就労は認められません。
詳しくは、出入国在留管理庁「在留資格一覧表」をご覧ください。

3 「資格外活動許可欄」(裏面左下)のチェック

この欄に「許可」と書かれていれば、就労時間や就労場所における制限付きで就労させることができます。
なおさらに詳しい内容は、別紙「資格外活動許可書」に記載されています。

参考 〜中長期間在留する外国籍の方とは?〜

中長期間在留者について、出入国管理庁によれば下記のように示されています。

在留管理制度の対象者となる中長期在留者とは,具体的には次の(1)~(6)のいずれにもあてはまらない外国人です。

①「3月」以下の在留期間が決定された人

②「外交」又は「公用」の在留資格が決定された人

③特別永住者(特別永住者には「特別永住者証明書」が交付されます。)

④「短期滞在」の在留資格が決定された人

⑤「特定活動」の在留資格が決定された,台湾日本関係協会の本邦の事務所(台北駐日経済文化代表処等)若しくは駐日パレスチナ総代表部の職員又はその家族の方

⑥在留資格を有しない人

出入国管理庁「知っておきたい!!在留管理制度あれこれ」より引用

外国人労働者の雇用にあたっての手続

事業主が、外国人労働者を雇用するにあたって、日本国籍の労働者と異なるのは、

外国人労働者の雇入時と退職時に、在留カード番号等をハローワークへの届出ることが必要になるという点です。
*雇用期間や雇用保険の加入有無に関わらず、届出が必要です。

届出が行われなかったり、虚偽の届出があった場合は、罰金刑が科される可能性があります。

その他の手続きについては、日本国籍の労働者と変わりません。

新卒の外国人留学生を採用する場合

在留資格を「留学」から就労できる資格に変更する必要があります。
この変更は、出入国在留管理庁で外国人留学生自身によって手続きしてもらいます。
*留学生の学んだ内容と、就職予定先での業務があまりにかけ離れているような場合は、変更許可が下りない可能性があります。

外国人労働者が働く上で、求められる事業主のサポート

事業主が遵守すべき法令や、努めるべき雇用管理の内容などが盛り込まれた
「外国人労働者の雇用管理の改善等に関して事業主が適切に対処するための指針」があります。
この指針の基本的な考え方について下記の通り示されています。

・事業主は外国人労働者について、労働関係法令及び社会保険関係法令は国籍にかかわらず適用されることから、事業主はこれらを遵守すること。

・外国人労働者が適切な労働条件及び安全衛生の下、在留資格の範囲内で能力を発揮しつつ就労できるよう、この指針で定める事項について、適切な措置を講ずること。

厚生労働省「外国人雇用はルールを守って適正に」より引用


この指針には、主に下記の内容が記載されています。

募集・採用時において
国籍で差別しない公平な採用選考を行いましょう。
日本国籍でないこと、外国人であることのみを理由に、求人者が採用面接などへの応募を拒否することは、公平な採用選考の観点から適切ではありません。

法令の適用について
労働基準法や健康保険法などの労働関係法令及び社会保険関係法令は、国籍を問わず外国人にも適用されます。
また、労働条件面での国籍による差別も禁止されています。

適正な人事管理について
労働契約の締結に際し、賃金、労働時間等主要な労働条件について書面等で明示することが必要です。
その際、母国語等により外国人が理解できる方法で明示するよう努めましょう。
賃金の支払い、労働時間管理、安全衛生の確保等については、労働基準法、最低賃金法、労働安全衛生法等に従って適切に対応しましょう。
人事管理に当たっては、職場で求められる資質、能力等の社員像の明確化、評価・賃金決定、配置等の運用の透明性・公正性を確保し、環境の整備に努めましょう。

解雇等の予防及び再就職援助について
労働契約法に基づき解雇や雇止めが認められない場合があります。
安易な解雇等を行わないようにするほか、やむを得ず解雇等を行う場合には、再就職希望者に対して在留資格に応じた再就職が可能となるよう必要な援助を行うよう努めましょう。
なお、業務上の負傷や疾病の療養期間中の解雇や、妊娠や出産等を理由とした解雇は禁止されています。

厚生労働省「外国人雇用はルールを守って適正に」より引用

参考ウェブサイト

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