離職率を下げるには?取り組むべき5つの対策を解説します。

離職率と聞くと、皆さんはどの様な印象を抱かれるでしょうか?「低い方が良い」と考えるのは自然なことだと思います。しかし、なぜ、離職率が高い業界や会社があり、逆に低い業界や会社があるのでしょうか。そして、そこにはどのような違いがあるのでしょうか?

今回は、離職率の定義、離職率が高いことのリスク、離職原因から改善施策まで解説します!

Contents

離職率とは?

離職率とは、特定の期間の間にどのくらいの人が退職したのかを示す割合のことです。

厚生労働省によると、離職率は「離職者数÷1月1日現在の常用労働者数(6月末日現在の常用労働者数)×100(%)」と定義されています。

また、同省によると、新規大卒就職者の3年以内離職率は、1990年後半以降、高卒の約4割前後、大卒者の約3割前後が3年以内に離職していて、横ばいの状況が続き、2017年新規高卒就職者のうち離職率は39.2%で、2017年新規大卒就職者のうち離職率は32.8%でした。

ちなみに、離職率の高い業界は、2017年3月時点で宿泊業、1位の飲食サービス業の高卒離職率64.2%、大卒離職率52.6%で、共に前年よりも増加傾向にあり、2位の生活関連サービス行・娯楽業の高卒離職率59.7%で前年比1.7%増加、大卒離職率46.2%で0.4%減少しました。

離職率が高いことによる3つのリスクとは

人材が流出する

優秀な人材の流出・人材の流出に伴い、離職者の担当業務を既存社員がカバーしなければならず、負担が増えた既存社員が耐えられずに連鎖退職が起こるリスクがあります。特にノウハウや経験を培ってきたキーパーソンの離職は、企業競争力の低下につながりかねません。また、採用や人材育成にかけたコストが無駄になるだけでなく、人材補填にも新たなコストが発生することも大きな問題となります。

企業イメージが低下する

離職率の高さは、企業イメージの低下に直接影響します。離職率やインターネットで簡単に口コミや評判を検索できる現在では、企業へのマイナスのイメージや優秀な人材の確保が難しい事態につながることもあります。

採用自体が難しくなる

離職率が高い企業にあえて就職しようと考える人は多くありません。離職率が高いと、ブラック企業という印象を抱かれないだけでなく、採用難易度が高くなってしまうからです。また、近年の転職のハードルは低くなりつつあり、自分らしさを求める労働者の要望は、年々大きくなっています。

従業員が離職する5つの原因

労働条件に不満がある

離職者には、労働条件に不満を感じている人がいます。「有給休暇が取りにくい」や「給与やボーナスが少ない」、「フレックスタイム制やテレワークを利用できない..」など、社内制度が不十分だと、ワークライフバランスを重視する人からすれば離職する可能性につながります。

給与が相場より低い

労働量や成果物に対しての賃金が低いことに不満を持ち、仕事のモチベーション低下につながります。具体的には、「残業代やボーナスが少ない」、「福利厚生が充実していない」ということが離職につながる場合があります。

評価基準が曖昧

周囲の席で働く人と比べて労働条件が悪いことが離職の引き金となる場合があります。

社長が直に従業員を評価できる中小企業の場合は、社長の独断で一部の社員が高く評価してもらえるケースがあります。しかし、大企業のように規模が大きく社長と社員との距離が離れている環境だと、社長が直接社員を評価するのが困難となるため、評価基準を明確にして社員に伝える必要があります。

つまり、大企業では評価者(人事部)と経営者の乖離が起こるため、評価者(人事部)の主観が入らないような客観的な評価基準が必要になるのです。例えば、評価シートや年に2回の面談があることがその理由です。

労働時間が長い

労働基準法に規定されている時間を超過して、長時間働くことが当たり前になっている職場環境。深夜残業や休日出勤をしなければ仕事が終わらないような職場環境だと離職率が高くなる傾向にあります。

人間関係でのストレスを感じている

人間関係が良好な会社は、退職したいと思わないでしょう。年次が上がれば上がるほど、職場へのストレスが溜り、離職を決断したいと思う人も多いです。

会社の将来への不安がある

会社の業績が不安定で、事業拡大に伴う年収の上昇が見込めず、社員の不安が増大すると、離職者が増えます。他には、「やりがいを感じられない」や「スキルアップが見込めない」などの業務内容と適性人材のミスマッチが原因で離職する人もいます。

離職率を下げるための6つの改善施策とは?

チェック項目

退職する理由を聞く

今後の適切な離職防止策を講じるために、離職を希望する社員への離職手続き後のヒアリングを欠かさないようにしましょう。自社が抱える問題点を明確にするまめです。離職手続き後であれば、本音に近い意見を聞き出すことが可能ですが、慰留目的の面談と思われると、態度が硬化してしまい、注意が必要となります。

福利厚生の見直し

福利厚生とは、企業が給与や賞与とは別で、社員に提供する報酬です。起業によっては、福利厚生の内容が大きく異なりますが、具体的に、「食費補助」や「住宅補助」、「資格取得の支援」、「セミナー参加補助」、「レジャー施設」、「宿泊施施設の利用補助」など、社員のニーズに合った福利厚生は離職を防ぐことにつながります。

長時間労働の削減

長時間労働が当たり前になると、離職につながります。2020年4月以降は時間外労働時の上限が原則月45時間、年360時間ほどです。特別な事情がない限り、上限を超えた時間外労働はできず、勤怠管理システムや業務棚卸、効率化のための見直しを行うことで、労働時間の大幅な超過を防ぐことができます。

適切な評価制度の確立

客観性があり透明性の担保された評価制度を確立しましょう。上司の好みが人事評価に影響を及ぼすと、不公平や不満が生まれ、離職率の上昇を引き起こします。社員の能力評価や、評価の根拠の可視化や給与体系への反映ができる人事評価システムの導入が必要となります。

人間関係を改善する

話しかけづらい・いじめ・パワハラセクハラマタハラは禁止であると、きちんと伝える必要があります。

そういった類のハラスメントや職場の雰囲気で辞める人もたくさんいるため、そういう雰囲気を作らせないことが重要となります。

時短勤務で仕事ができるようになる時間が確保できないことやどんどん雰囲気も悪くなる

パワハラ、セクハラやマタハラの基準はしっかり設けなければなりません。

経営者の思いを社員に伝える

ビジョンを伝える・会社の方向性・社員の行動指針を就業規則で伝えるのが一番良いです。

「なぜ就業規則なのか?」を的確に説明することが必要となります。なぜなら、従業員にとって一番身近な公的文書が就業規則だからです。

経営者の思いと従業員の思いが一致しないと、その会社で頑張ろうと思う人はいないでしょう。

「従業員が共感できる」・「モチベーションを保ちやすい環境」を就業規則で作ることが大事です。

まとめ【就業規則から離職率の改善を】

今回は、離職率の定義から、離職率のリスクや離職の原因、そして離職率を下げるための施策を解説しました。

離職率を下げることは、従業員だけでなく求職者に影響を与える重要な指標となります。そのため、低ければ低いほど、その会社の働きやすさは評価されやすいです。

弊社では「従業員が共感できる」、「モチベーションを保ちやすい環境」を就業規則で作る支援をしております。規則を用いて確実に周知させることで、離職率の低下や採用活動の円滑化につなげられます。もし、就業規則の改善にご興味がある方は、ぜひこちらの就業規則を参考になさってください。

日本就業規則診断士協会では、就業規則全般のコンサルティングを行っております。

ご不明点がございましたら、ぜひお気軽にお問い合わせください。

お問い合わせ